旅は楽しいものだ。
見たことのない景色、食べたことのない料理。そこで触れる物事、出会った人たちとの交流。そのすべてが新鮮で、旅に出る理由なんていくらでも見つかるけど、僕の場合は自転車で巡る旅が1番の楽しみである。

自転車旅の魅力は「自由」なところにある。
歩くより速くて、車より遅い。そして電車よりも自由で、走る場所を選ばない。
どこにでも止まることができるし、細い路地だって、簡単に移動できる。
自分の意思と、自分の力で、自分の目指す方向へ自由に走ることができる。(そして驚くべきことに、この乗り物はCO2を排出しない)
自転車を袋に詰めれば、電車にだって載せることができるし、国内線の飛行機も袋のまま遠くまで運んでくれる。

旅はそもそも自由なものだけれど、自転車を旅のツールにすると、本当に自由に行動できるのだ。
Tour de Nippon
そんな「旅 × 自転車」で日本各地の風土を五感で味わうイベントである「Tour de Nippon(ツール・ド・ニッポン)」を、僕が所属する「SimWorks」でサポートしている。

サポートといっても、自転車にトラブルがあった時にヘルプする仕事なのだが、出発前にしっかり整備するので、実際はそこまで大きなトラブルは起こらない。参加する方々が気持ちよく走れるように、走行中に迷わないようにルートを先導したり、上り坂できつい時に声をかけたりするのがメインの仕事だ。

先日の長崎雲仙でのツアーは、島原半島の北側を舞台に行われた。

島原半島は長崎県にあり、雲仙火山の噴火で隆起してできた半島である。雲仙天草国立公園という、日本で最初の国立公園がある場所で、山頂付近の温泉街は、開国後の日本において外国人滞在者の避暑地、温泉地として親しまれてきた歴史がある。
この雲仙火山は1990年から1996年まで噴火活動が続き、この地に甚大な被害をもたらし、その噴火の隆起で平成新山という、日本で一番新しい山を作り出した事でも有名だ。

活火山の降り積もった火山灰は水はけの良い土壌をもたらし、隙間の多い溶岩でできた土地は、雨を濾過し綺麗な湧水となって豊かな農作物をもたらしている場所だ。
そんな地理的条件もあり島原半島は、日本古来からある原風景や、その場所固有の野菜や海の幸など、日本の本当の豊かさを知ることができる場所なのだ。
自転車で走る雲仙は、海抜ゼロから火山の裾野がはじまっていて、坂道が多く、実際はかなり走りごたえがある地形。
そんな土地で、半島の裾野にある、伝統野菜を農薬や、化学肥料、除草剤などを使わずに育てる「雲仙つむら農園」や、耕作放棄地を果樹園に変えている「雲仙シトラスファーム」、自ら育てた野菜から種を採取し、それを育て、古来からある野菜の種を守っている「竹田かたつむり農園」。セルフビルドでギャラリーや自宅を建てている「やまぼうし工房」などを巡った。

どの農家さんも、野菜・果物づくりに思想があり、話を聞いているだけでも楽しく、話を伺った後に野菜・果物を採取する体験は特別なものがあった。
その夜は、地元で採れた野菜を、地元の宿で味わう夕食の時間。

宿泊した「観月荘」では、地域に根付いた食物を存分に味わい、参加した方々、伺った農家さん全員との交流会があり、お酒の席で話される地元の話でよりこの土地を知ることが出来た。
僕が最も印象に残ったのが、雲仙の裾野を登った中腹にある「やまぼうし工房」。陶芸家である岩永隆治さんが、自らの力で、セルフビルドした建物とその物語を伺うことができたことが、この旅のハイライトだった。

この2日間の旅は、その土地のDIY精神に触れる旅立ったような気がする。自分の手と知恵と工夫で、挑戦し、やり遂げている人たちとの出会いがあり、人の意思と、自然との調和を感じられる旅だった。

旅の自転車
上り坂、下り坂、まっすぐな道、曲がりくねった道。自転車で土地を巡るということは、その土地を全身でインプットする行為だ。この地形だからこそ成り立つ産業や、人々の営みがあるということを、少ない時間で知ることができる数少ない方法だ。
旅で使用する自転車は、様々な地形に対応するために、ギア付きのもので、少し太いタイヤを履くことができて、荷物を載せても安定して走れる自転車が最適である。

今回の旅で使用した自転車は「SimWorks Doppo Ronin」というモデル。
荷物を乗せて走ることも想定しており、いろいろな工夫がされていて、日本の自転車工房で一台一台手作業で作られている。
「Doppo(独歩)」、「Ronin(浪人)」という名前の通り、場所や地形を選ばず、何にも縛られる事なく、一人で世界を放浪できるように設計された自転車なのだ。

「SimWorks Doppo Ronin」は、荷物を積んで未知の景色を見に行くためのロングライドから、日々の生活の移動手段としてもおすすめできる。

どこまでも行く事ができる全路面対応のモダンなツーリング自転車。このバイクにあと必要なものは、あなたの想像力と冒険心だけだ。