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SHIMANAMI DREAMERS 03

大三島みんなのワイナリー
川田 祥子・佑輔

ワイン作りは人生の一部

 

04/11/2024

ミカンの島で生まれるワイン


「大三島らしさを表現したいんですよね。この土地の味わいをより出せれば、もっといいワインになると思います」

ブドウ畑を歩きながら、「みんなのワイナリー」の川田佑輔さんがつぶやいた。

世界的建築家の伊東豊雄さんが発起人であるワインづくりが始まったのは、大三島に増える耕作放棄地を憂いてのこと。放棄されたミカン畑を借り受け、醸造用のブドウ栽培に切り替え。しまなみ海道唯一のワイナリーとして、シーズンに約20種類を製造する。

「海に近いと、ワインにミネラルが残るのがいいんですよ。瀬戸内は温暖で雨が少ないのも、ブドウの成熟にはいい条件。土づくりや獣害対策には苦労しましたが、理想のワインに少しずつ近づいてきたと思います」

マスカット・ベーリーAをはじめ、5種類以上の醸造用ブドウを栽培
大三島の西部、廃校になった小学校の敷地内に醸造所がある。ワイン2万本分のステンレスタンクが並ぶ。フレンチオークの樽による樽熟成も

海に面していながらも、強風に吹かれない。瀬戸内気候の特異な環境は、柑橘だけでなくブドウの栽培にも適していた。自社農園と島内の契約農家で、農地は3haに達するという。

「ワインづくりは子育てと同じですよ。仕事ではなく、人生の一部。大変ですけど、没頭しがいがあります。タンクから試飲するとき、どんな味かと今でもどきどきします」

娘の名前をつけた「島ゆひ」。ラベルは伊東さんのスケッチ


川田 祥子・佑輔/Shoko Kawata, Yusuke Kawata
「みんなのワイナリー」では佑輔さんが栽培・醸造責任者、祥子さんが事務局を担当。祥子さんは大山祇神社参道の「大三島みんなの家」に立ち、ワインの販売や有料試飲を行っている。