HERBSTAND
平野優太さんと真菜実さん夫妻は、長年、植物とハーブに関心を寄せてきたが、ニュージーランドを訪れたことが二人にとっての転機となり、ハーブの生産事業を本格的にスタートすることに。「僕たちのホストファーザーは、猟に出て鹿やイノシシを抱えて帰ってくると、庭から新鮮なハーブをざっと摘んでハーブティーを淹れてくれました。これまでどちらかというと繊細なイメージを抱いていたハーブを、こんなかたちで大胆に使うことに、すごくかっこよさを感じました」と優太さん。
日本に帰国すると、ハーブの栽培環境に適した土地である山梨県富士吉田市に居を構え、ビジネスをスタート。最初は、ポップアップとしてモヒートスタンドを展開していたが、最終的には自分たちの手でハーブを育てる生産者としてハーブティーやハーブの販売を始めることとなった。



2017年、わたしは彼らのつくったハーブティーをHostel Saruya ではじめて飲む機会があり、日本古来の品種であるシソや黒豆、ゴボウ、柚子などがブレンドされた繊細な味わいにあっという間に魅了されていた。気づけば、その日はおそらく2リットルくらいのお茶を飲み干してしまっていたほどだ。
今後のHERBSTANDの展開をふたりはこう語ってくれた。
「富士山の麓で育った高品質のハーブをよりたくさんの方々にお届けする仕組みをつくっていくとともに、ハーブの新たな可能性も追求していきたいと考えています」

Chabashira
2016年、静岡県の海、山、川に囲まれたのどかな地に創立されたChabashira。主宰の杉山将夫さんは、緑茶の消費量が高いことで知られる静岡で生まれ育った。杉山さんは製茶工場でアルバイトをしながら、祖父母が経営していた茶農園も手伝っていた。
「茶葉を摘んだ重い袋を持って、起伏の激しい茶畑を登るのはきつかったですが、家族で働くこと、みんなでお弁当を一緒に食べながら、お茶をすることが楽しかったですね」と当時を思い出して杉山さんは語る。
杉山さんは、静岡を離れてしばらく別の場所で暮らしていたが、地元では気づかなかった緑茶の文化を次第に残していきたいという気持ちが湧き上がり、再び地元に拠点を据えた。お茶を気軽に飲んでもらうためにはどうしたらよいかを考えた杉山さんは、茶葉ではなく、カップで提供するドリンクとしてお茶を販売することに。最初の一口目から、Chabashiraのお茶の味わい深さ、のどごしの良さ、そして、雑味のなさは市販のものとは一線を画するものであることがよくわかる。


Chabashira は、「お茶を通じてひととひととがつながることができる」と考えており、彼らがつくるさまざまなお茶にまつわる商品は、イベントやコラボレーションを通して広がり続けている。
「いろいろな人と一緒に働くことがともかく楽しいんです!特に地方の農家やフリーランスのクリエイターと働くと、こっちが思いもよらないようなおもしろい方向に進んだり、予想外のアイディアを出してくれるので刺激を受けています」

新しいお茶の作り手たちの、美味しいお茶をこの機にぜひ味わってみてはどうだろうか。もっと日本のお茶とその歴史について知りたい方には、こちらの記事もおすすめだ。