身体の一部のように肌に馴染む
そんな究極の一枚を目指して
世界有数のコットン生産量を誇るアメリカ。良質な綿花を育てる栽培技術に加え、糸を紡ぐ紡績や縫製の技術も長い年月をかけて進化し、労働者たちを支えるデニムなど数多くのワークウェアが作られてきた。
タフな労働環境でも破れないようヘビーデューティーに作られ、着るほどに味わいが増すアメリカのワークウェアはやがて「アメカジ」という文化を育んでいった。そして年代物の製品にはビンテージとしての新たな価値が見出され、いまなお多くの人々に愛され続けている。

Good On(グッドオン)は、そんな古き良き時代に作られたアメリカの古着にインスパイアされ、1997年にスタートしたアパレルブランド。上質なアメリカ産コットンを日本の職人技で加工したこだわりの製品づくりをおこなっている。

なかでもとくに人気なのが、カラーバリエーション豊富なTシャツのシリーズだ。国際的な認証である「COTTON USA」の基準をクリアした上質なアメリカ産コットンを輸入し、独自の技術を持つ関西のニッティングファクトリー(編み立て工場)にオリジナル生地の製造を依頼。

そうして編み上げられた生地は九州の縫製工場へとバトンタッチ。高い技術を持つ日本の職人技で一枚一枚丁寧にTシャツを仕立てていく。糸から生地へ、そして製品へ。アメリカから海をわたってきたコットンは、日本各地を旅するように一枚のTシャツとなっていくのだ。
豊富なカラバリを実現するための
独特な染色方法
しなやかなコットンの着心地も特徴のひとつだが、最大の魅力はなんといっても、古着のような風合いの色味と豊富なバリエーションだ。今年(2025年)のカラー展開はなんと26色。これまでに作ってきた累計カラー数はなんと100を超えるという。

「じつはこれでも人気のあるカラーだけを厳選しているんですが、気がついたらこの色数になってしまいました。トレンドを追うのではなく、私たちが大切にしているのは、毎日の暮らしに寄り添う飽きのこないカラー。そんな視点で、製品づくりを続けています」
こう話すのはGood Onの生産管理を担当する福留隆志さん。この豊富なバリエーションを可能にしているのが、完成したTシャツを染める「製品染め」という独自の製造方法にあるという。

一般的なアパレル製品では、糸の段階で色を染めてから生地を編み、製品を仕立てていく。一方、Good Onが採用する「製品染め」では、生成りの糸で編み上げた生地を縫製し、製品全体に対して染色をおこなう。


こうすることで表現できるカラーの自由度が増すだけでなく、小回りの効くカラー展開ができるというわけだ。さらに、製品全体を染めるため自然な色ムラが生まれ、独特な味わい深さを生み出している。
加えてGood Onでは「ピグメント染め」という少し変わった染色方法を採用している。

「ピグメント染めの一番の特徴は、色落ちが楽しめるという点です。ぼくらはそれを経年劣化ではなく、“経年優化”と呼んでいて、色が変化していく過程を楽しんで欲しいんです。ピグメント染めは、生地の表面に顔料が付着しているイメージ。それを何回も着ていくと表面が削れて、まるでビンテージのデニムのような独特のアタリ感が出てくるんです。デニムって、自分にしか出せない味が出てくるじゃないですか。その風合いをTシャツで表現できるというのがGood Onの特徴であり魅力だと思っています」と福留さん。

日本のクラフトマンシップが支える
オリジナルのカラー
そんなGood On製品のピグメント染めを一手に引き受けているのが、東京にある染色専門の工場だ。長年の経験と技を持つ職人が、独特の色味を生み出していく。Good Onとはこれまで約30年にわたり、二人三脚で仕事をしてきた。独特の風合いのあるオリジナルカラーのレシピはすべて大事に保管されているが、もちろんそれは企業秘密。




「染色の感性っていうのは、経験を積んで養うしかない。過去に作ったカラーを記録したレシピはありますよ。でも新しく色を作るときにはアレンジが必要ですよね。Good Onが求めているカラーがあって、その色をどう出していくのか。それはもう経験と感性を鍛えるしかないんです」

作業の合間に手を止めそう教えてくれたのは、職人歴50年以上になるベテランの内山豊さん。近年ではコンピューターで色相をシミュレーションすることもできるそう。ただ、コットンの質によって微妙に色の乗り方は変わるため、パソコン上で作ったレシピでは思い通りの色は出せないのだという。

「その年の気候、綿花の育成具合によって、同じ比率の調合でも色味が違く出てしまうことがあるんですよ。だから少しでも気を抜くと、思い通りの色にはならない。それほど繊細な作業なんです」と内山さんが話すと、Good Onの福留さんが次のように続けた。
「こうした熟練の職人技のおかげで、ぼくらが求めているものに対して的確な色を出していただけるんです。ときには、求めているもの以上の色を出してくれることもあります。それは、1〜2年でできることではない。職人さんたちが積み重ねてきた経験に、Good Onは支えられているんです」

上質なアメリカ産コットンと日本のクラフトマンシップ。このふたつが融合し、真っ白だった生地に製品として命が吹き込まれているのだ。

生地自体の丈夫さに加えて、Good Onでは縫製にもこだわり、何年着てもヨレない、着るほどに体に馴染むボディを製造している。目まぐるしくトレンドが移り変わる現代のファッションシーンやファストファッションの潮流から考えると、これはむしろ時代に逆らっているようにも見える。
「何十回と洗濯を繰り返しても、生地がヨレて着れなくなる、ということはないと思います。むしろ着るほどに体に馴染んでいく。できるだけ長く着て欲しいという思いで耐久性と着心地にこだわって作っていますし、これからもそれは変わらないと思います」
