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EDITOR’S LETTER
No.72 — YAMAGUCHI ‘Walkable’ Issue(2025)

トレイルラーニング:
歩くことは、ここに在ること

ルーカス B.B.

 

06/02/2025

本号は、足で制作した1冊。つまり、徒歩で移動して取材した特集です。ようこそ、「ウォーカブル」山口の旅へ。本号を「歩くこと」に捧げます。

山口県は、石畳の古道や潮風に触れる町、森の小道、そして、歩くことで語り継がれてきた場所でもある。ここでは、歩くことは単なる移動手段ではなく、意味深く、つながりや内省をもたらす行為でもある。

今月、僕は歩く行為に魅せられた仲間たちと、『TRAIL LEARNING ー 未知を拓く冒険「歩く」』(みなとラボ出版)という本を発表した。歩くことはどこかに行くだけではなく、どこかにいることでもあるという考えをまとめたものだ。そして、このコンセプトを実践する場として、吉田松陰のような人物を生んだ山口県こそ舞台になりうると思ったのだ。

足裏に耳を傾け、感じているものを見る。トレイルラーニングは、動きのフィールドワーク。旅の記録でもあり、観察することで洞察力をもたらす静かな哲学ともいえる。歩くことで、その土地の地形や、岩や川、根に秘められた物語を身体で学んでいくのだ。土地の人々に出会い、文化を味わい、歴史をたどる。そうして、その土地を表面からではなく、内側から知り始めていく。

今回、僕たちが歩いた場所は、山口市、萩市、長門市という3つの町。萩では、森やキノコからインスピレーションを受けて作陶する、陶芸家の金子司さんに出会い、自家焙煎の珈琲が香る「カフェ・ティカル」へ。そして僕らは民俗学者・宮本常一が歩いて調査を行ったこの地で、「歩くこと」は聴くことであり、知ることであり、学ぶことでもあることを再確認した。

長門市では、神仏習合の美しいかたちを残す住吉神社と大寧寺に見守られ、地球が呼吸するたびに地中から湧き出す、生温泉「恩湯」に浸かった。16代続く窯元の陶芸家・坂倉正紘さんを訪ね、詩人・金子みすゞの言葉に心を寄せ、今春、オープンしたホテル「SOIL Nagatoyumoto」のバルコニーから音信川を眺めて過ごした。

山口市では、「ワインと地酒のムラタ」で地元の酒を味わい、洞春寺にある窯元「水ノ上窯」の舛井岳二さんを訪ねた。禅僧・雪舟が築庭した庭のある常栄寺にも立ち寄り、今この瞬間に在り続ける庭の息吹に触れた。

今号のゲストは、長年の友人でもある、作家で写真家のクレイグ・モドさん。彼は最近、ニューヨーク・タイムズ誌で「今年行くべき52カ所」に山口を選んだばかり。そんなクレイグとともに、スポットライトから離れ、いざトレイルへ。山口市から萩往還を歩きながら探検し、トレイルラーニングによる喜びに震え、予想をはるかに超えたものを受け取る旅へ出かけよう!

ハッピートレイル、よい旅を!

PAPERSKY no.72 | YAMAGUCHI|Walkable
山口の歴史街道を歩いて巡ることから見えるものとは何か。作家・写真家のクレイグ・モドさんを旅のゲストに迎え、歩き旅の出会いを楽しみながら、山口ならではの文化の奥行きについて探ります。