生まれたての温泉
その場所を長門湯本の人々は“温泉”と呼ばない。口を揃えて“恩湯”という。開湯600年の歴史をもち、大寧寺と住吉神社の「神授の湯」の伝説が言い伝えられているからだ。
長門湯本の象徴である「恩湯」は、2020年にリニューアルを遂げた。公設、公営から、民設、民営の立ち寄り湯へ。様式美と木の素朴さを感じさせる平屋づくりは、地理的にも心理的にも、温泉郷の中心といえる。

恩湯が特異なのは、その歴史に加えて、泉源の近さが挙げられる。改装工事によって判明した泉源の場所は、なんと建物の岩盤の真下。ミネラル豊富な湯が岩盤から滔々と湧き続ける様子に見入りながら、いわば“生まれたての温泉”で身を清められるなんて、格別の入浴体験に違いない。
温泉で身体をととのえてから食事をするのが、古くからの日本の旅館文化だったという。1mもの深風呂で源泉温度39℃のぬる湯に浸かりながら、湯上がりのそぞろ歩きのプランを考える。地元客が入浴前、浴場に鎮座する住吉大明神像に両手を合わせたように見えたのは、何ものぼせていたからではないはずだ。



ナトリウム、カリウム、カルシウムなどイオン成分をたっぷり含んだアルカリ性単純温泉。三方ガラス張りの開放的な休憩スペースでは、「365+1BEER」やクラフトコーラ、ソフトクリームが味わえる。週末には入場制限があることも。
山口県長門市深川湯本2265
TEL:0837-25-4100