Tour de Nippon

ニッポンの魅力再発見の旅 南阿蘇

火山活動によってできた南北25km、東西18km、周囲128kmもの世界最大級のカルデラ。その中心部に連なる阿蘇五岳の山々と南外輪山(カルデラ壁)に挟まれた凹地では、豊かな大地とそこに生きる人々の営みが育まれている。カルデラのなかに集落が形成され国道や鉄道まで整備されているのは、世界的にもめずらしい。地球が長い時間をかけてつくり上げる大自然のダイナミズムを体感する、南阿蘇村を訪ねる旅へ。

08/18/2020

人の心ゆきかう駅舎のお楽しみ

2016年4月に起きた熊本地震の爪痕は、大きい。熊本と大分を結ぶJR豊肥本線の運休により、空港から南阿蘇への鉄道ルートは寸断。それに伴い南阿蘇村の玄関口でもある立野駅から高森駅へ続く「南阿蘇鉄道」(通称・南鉄)では約半分の区間が未だ不通。2022年度の全線復旧に向け懸命に日々運行している。

南鉄といえば人気のトロッコ列車ゆうすげ号をはじめ、さきごろまで日本一長い駅名を誇っていた「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅(以下、白水高原駅)」への改名、また地震で休業中ながら温泉併設の駅など、駅のユニークな活用に個性が光る。

被害が大きかった地域に隣接する長陽駅の「久永屋」には、1日も早い列車の往来と復旧を誰より願う店主の久永操さんがいる。昭和2年に建てられた趣ある木造駅舎の週末と祝日は、母直伝のおいしいシフォンケーキやマフィン、ひきたてのコーヒーを求める人でにぎわう。ホームで田園風景を眺めながら時を過ごすのもよさそう。操さんの気さくさに触れ、人が集まるのも納得なのだった。

本のある風景が、さながら図書館の「ひなた文庫」は、白水高原駅の駅舎に週末に現れる古書店だ。木造八角形の無人駅だったここを訪れたとき「夕陽が差し込む放課後の図書室のようだった」と話す中尾恵美さん。すぐに駅舎古本店を村役場へ提案し営業を実現させる。南阿蘇で育った夫・友治さんと話すのは、ここを地域の人と旅人が本を通じて心通わせる場所にすること。地域の観光案内や駅の管理業務も行いながら、各地のブックフェアにも参加。集う人のエネルギーを糧に、鉄道と本を介したこれからの旅路が楽しみで仕方がない。

*2020年9月26日(土)・27日(日)に開催を予定しておりました「PAPERSKY ツール・ド・ニッポン in 南阿蘇」は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、開催を中止させていただくことになりました。楽しみにしてくださっていた皆様にはご迷惑をおかけし、申し訳ありません。ご理解の程、何卒よろしくお願いいたします。

PAPERSKY TOUR DE NIPPON
PAPERSKY ツール・ド・ニッポンは、「日本の魅力 再発見」をテーマに、PAPERSKYが企画・提案するツアープロジェクト。その土地の魅力ある文化、暮らし、自然、食、そしてそこに暮らす人々との出会いを求めて、自転車に乗って日本各地を旅しています。