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Tour de Nippon in Kochi

また訪れたい場所、また会いたい人

ひとつの場所を訪れる前に頭の中で広がるイメージ。ハートでざわめく波。旅はやはり到着する前からはじまり、余韻も含めたら決して終わらないと言っても良いのかもしれない。旅好きにとってはもどかしい1年となった2020年。不確かなこの状況もまたひとつの旅だと言えば間違いはないのだけれど…。ただ、このような状況下でも無論旅は存在する。今回はPAPERSKYが手がける「ツール・ド・ニッポン」で初めて高知を訪れた。

01/29/2021

「日本の魅力 再発見」を合言葉に日本各地で行われているPAPERSKYによる自転車ツアープロジェクト「ツール・ド・ニッポン」。2011年にはじまったこのプロジェクトは、その土地ならではの自然や文化、ローカルな魅力を感じられる地方都市や地域を舞台に、自転車にまたがりその場所を肌で感じるツアーだ。2020年11月末に開催されたのは「ツール・ド・ニッポン in 高知」。僕が四国で唯一訪れたことのない場所。とびっきりの天気に恵まれた高知の旅について記す前に、今回参加するに至った経緯を少し思い起こしてみたい。

ハワイ島にいる友人からのメールをもって僕はルーカス(PAPERSKY 編集長)に出会った。旅をひとつのテーマにする僕らに何らかの接点を感じてくれたようだ。しかしながら、ルーカスは渋谷にいて、僕は九州・沖縄をスミカにしており、今回の旅までは接点を具現化できずにた。

現在、国東半島に在住する僕にとって、海を挟んで隣接している高知県は地図上ではあまり遠い場所には位置していない。ただ、高知駅までは電車を乗り継いで6時間だ。東京に電車で行くより遠い。近いようでなかなか辿りつかない場所にはタカラモノがたくさん隠れている。

1日目。自転車には乗らず、徒歩で散策をはじめた。PAPERSKYチームと旅を共にする仲間たちとの顔合わせ。まず「四国」と言えば「お遍路」だ。四国八十八箇所の24番目から39番目までの霊場がここ高知を通過している。さっそく、コスモス畑を通り過ぎ、遍路道を歩きながら、牧野植物園を目指した。遍路道も通過するこの植物園は僕が最も楽しみにしていた場所だ。高知県出身で日本の植物学の父といわれる牧野富太郎博士の功績をたたえ、1958年に開園し、植物の研究拠点でもある。

高知名物の野菜のお寿司「田舎寿司」を食べながら、遠くに太平洋が見えた。静岡県西部で生まれ育ったぼくにとって、高知はどこか懐かしい。太平洋の恩恵を受け柑橘がたわわに実り、山深い谷に清流が流れるさま、豊かさを象徴するようなこの景色は僕にとって正に「ソウル風景」だ。

ランチ食ベ終わると、いよいよ園内の散策がはじまった。僕らのグループを案内してくれるのは、上杉さん。植物について丁寧に語るその口調からは植物への愛が溢れ出ていた。自身を「植物の精霊」と悟った牧野博士のスピリットは植物園にしっかり根付いているようだ。

バスで帰路に着いた僕らは各々の時間を過ごし、夕食会場の7days Hotelへと向かう。ホテル横にある屋外スペースにはテーブルと椅子が並べられ、高知在住の料理家 有元くるみさんと料理店の草やさん、そしてキッチンカー「Ark and Soil 」が出迎えてくれた。街なかに出現したこの宴は、高知で言う「おきゃく」だ。「おきゃく」とは、結婚式やお花見など、お祝いの総称で、招待客を指すその言葉そのものが宴自体を意味するようになったと言うのだから面白い。色とりどりな新鮮野菜、地元の食材をふんだんにつかったお料理に地酒。2日目への期待を膨らませ、旅は続く。

高知の朝は「朝市」ではじまる。日曜市を中心に、週に何度も市が開かれる高知。その歴史は江戸時代までさかのぼり、野菜や果物だけでなく、植木から生活道具まで揃う。幸い日曜日だった2日目は、ツアーで知り合ったベンと日曜市へと向かった。高知の市は決してイベントではない。町を動かす鼓動のようであり、市民の営みの一部であることがしっかり感じられる。

自転車の旅はJR佐川駅がスタート地点だ。円になり、入念に準備体操。普段から自転車に乗っている人もいれば、僕のようにだいぶご無沙汰している人もいる。ただ、共通しているのは皆どこかウキウキしていることだ。ハンドサインを確認し、伝統的な酒蔵が建ち並ぶ佐川の町並みを走り抜ける。冷たい風を頬に感じながらも気持ちはどこか晴れやかだ。

まもなくして川が視界に飛び込んできた!ピクニック会場としてPAPERSKYが選んだのは仁淀川を舞台にした、スノーピークのキャンプフィールド。河岸に腰掛け、ランチをいただく前に、川に手を。なんとも心地よい冷たさ!旅の締め括りに仁淀川をカヤックでダウンリバー。川の流れに身を委ねながら、深い透明感に心を奪われてしまった。閉塞感ただよう社会において、流れ与え続ける川はインスピレーションだ。

2日間でこれだけの充実感が得られるこのツアーの秘密は、山、川、海という圧倒的な豊かさを誇る高知の魅力と、その場に交差する人と人との物語だ。ツール・ド・ニッポンは、日本中の点と点をつなぎ、消費する観光ではなく、また訪れたい場所、会いたい人、をつくっていく。出会った仲間たちと高知駅で別れを告げながら、頭の中では今回訪れることができなかった高知の海に出会うべく夏の高知ファミリー旅行をプランしている。どうやら僕も高知マジックにかかってしまったようだ。旅は終わらない。

<協賛>
公益財団法人 高知県観光コンベンション協会

<Tour de Nippon Supporters>
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HOUDINI
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STRAVA MAP | TOUR DE NIPPON IN KOCHI
STRAVAでPAPERSKY ツール・ド・ニッポンのサイクリングルートマップを紹介しています。PAPERSKYのクラブへの参加もお忘れなく!