TOKYO TREE TREK

お目当ては街のシンボルツリー!
大都会の自然を探して、and wander的東京ハイキング

世界のどの都市と比べても、トップレベルで緑が豊かな街、東京。and wanderのふたりと出かけるのは、街を代表するシンボルツリーをめぐる約60kmのハイキング。高台にある高級住宅街から武家屋敷の面影残る文教地区、どこか昭和レトロな趣き漂う下町エリアまで、6セクションを歩いてみたら、普段はお目にかかれない、東京の素顔に出合えるかも。

10/01/2020

Section 4 東京大学〜浅草(10km)
下町風情と文化の薫りが交錯する

江戸時代に築かれた武家屋敷やその名残りを留める界隈に別れを告げ、谷根千方面へ。セクション4で歩くのは本郷から続く下町エリアだ。セクション3の小石川周辺を「武士のまち」とするなら、江戸時代、根津神社の門前町として栄えた根津は、いわば「庶民のまち」の代表格。古い木造家屋や古民家が立ち並び、江戸時代から受け継がれた町割りがそのまま残る細い路地に、独特の下町文化が醸成されている。明治時代の文豪たちもそんなカルチャーに魅力を感じていたようで、夏目漱石、森鴎外らがこの一帯に居を構えていたことはよく知られている。

本郷通りから根津へ下る。森鴎外『青年』にちなんだS坂の先には根津神社が
根津神社の境内では、春になるとピンク、赤、紫と、とりどりのツツジが花開く
千本鳥居で知られる根津神社境内の乙女稲荷

このエリアでは、生活感のある路地に飾られている普段着の木々の表情を楽しもう。たとえば、住宅や店舗の軒先には、思い思いの木を植えたプランターや鉢植えがずらり。こうしたグリーンをきっかけに地域住民のコミュニケーションが育まれているというからおもしろい。その代表格が、谷中のシンボルツリーとして知られるヒマラヤスギ。もともとは「みかどパン店」の初代店主が小さな鉢植えで育て始めたもので、地域の人々が大切に守り育み、100年という歳月を費やして樹高20mの大木に育て上げたという。

地元の人々が愛情を注ぐヒマラヤスギ。みかどパン店ではヒマラヤスギ型サブレを販売する

ヒマラヤスギを後にして上野公園に向かう。周囲の景観も、なつかしい下町風情から自然と文化が交錯する「上野文化の杜」のそれへと移り変わっていく。ここは江戸時代、東叡山寛永寺の敷地として広大な自然を有していた上野の山の一部。明治時代になると日本を代表する文化施設が次々と建てられ、近代化の中心地として発展してきた。そんな歴史の移り変わりを飄々と眺めるのが、上野東照宮の御神木のオオクスノキである。幹のなかには野生のタヌキが棲んでおり、推定樹齢は600年! 1651年の東照宮創建以前から今の姿で立っているという。空襲にも震災にも負けず600年を生き抜き、今なお生き生きと枝を延ばす大木の前に立てば、日々の悩みや迷いなんて取るに足らないこと、そんなふうに思えてくるからありがたい。

上野東照宮のみごとなオオクスノキ
歌川広重『名所江戸百景』のモデルといわれる寛永寺清水観音堂の「月の松」
「藝大ヘッジ」の一環の植栽帯を手入れ中

■Tree Spot
・根津神社
・谷中ヒマラヤスギ
・長昌山 大雄寺
・東叡山 寛永寺
・東京藝術大学
・上野恩賜公園
・上野東照宮 

STRAVA
ルートアプリ「STRAVA」による、TOKYO TREE TREKのルート60kmのすべてを記録したオンラインルートマップです。自転車で巡るなら「STRAVA」のアプリをダウンロードしてご活用ください!
YAMAP
登山アプリ「YAMAP」がTOKYO TREE TREKをサポート!実際に歩いてルートを巡る際にお使いいただける詳細マップです。「YAMAP」のアプリをダウンロードして、東京の自然を探しに出かけましょう。
PAPERSKY NO.62 TOKYO TREE TREK
次々と高層ビルが誕生し、大きな変貌を遂げる街、東京。そんな東京の大地に根を張り、街を見守るかのように生きる樹木をめぐる特集です。ゲストはand wanderの池内啓太さん、森美穂子さん。
text | Ryoko Kuraishi photography | Norio Kidera special thanks | Shinichi Kimura (Cyclex)