Section 3 新宿御苑〜東京大学(10km)
武家屋敷の面影残る界隈と、江戸時代の樹木
セクション3は新宿御苑から若松河田方面へと北上し、戸山公園、早稲田大学構内、神田川沿いの遊歩道を経て東京大学へ至る10kmのルート。神田川沿いにある関口台一帯は、江戸時代初期、徳川家康の江戸城入城とともに開発が進められたエリアである。はじめに藩主の下屋敷と寺社がつくられ、五街道のひとつ、中山道が整備されると街道筋には商家が立ち並び、商活動が活発になり、やがてまちを形成した。

というわけで、このエリアの見どころはかつての武家屋敷やその鎮守となった寺社、幕府直轄の施設に残された大木だ。ホテル椿山荘東京の裏門付近で見られる樹高20m、樹齢500年を超えるスダジイ。神田川上水が拓かれて以来、関口水門を守護してきた水神社の、樹齢300年ともいわれるイチョウ。江戸幕府によって開園された小石川薬園を前身とする小石川植物園ではヒマラヤスギやクスノキの大木が楽しめる。ここのいちばんの古株は園の西側にあるサネブトナツメとか。1979年の台風の影響で倒れてしまった地味な見た目の木なのだが、1727年に中国から輸入されたという当時の記録が残っている。いずれにしろ江戸時代、もしくはそれより以前からあるのは確かで、ゴツゴツと荒れた樹皮や幹にできた空洞に数百年という時の積み重ねを感じて感慨を覚えるはずだ。「東京はどこのエリアもだいたい知っていると思うけれど、これだけ江戸の薫りを感じさせる場所は少ないかも」(森さん)、「小日向や小石川というと大名屋敷を受け継いだ庭園で知られる住宅街だけれど、同じ高台にある住宅地でも池田山や白金とは植栽や緑地のつくり方がまったく違う。違いを感じながら歩くとおもしろそう」(池内さん)。



さらに歩を進めて東大本郷キャンパスへ。東大といえばイチョウ並木だ。大学のロゴにもイチョウが描かれているが、キャンパス内には290本ものイチョウが植えられている。さらに工学部前にある樹齢300年以上の大イチョウを訪ねてこのセクションを終えた。


■Tree Spot
・戸山公園
・穴八幡宮
・大隈庭園
・肥後細川庭園
・関口水神社
・ホテル椿山荘東京
・小石川植物園
・善光寺坂
・東京大学