手ぬぐいは、その名の通り、「手を拭う」ことから由来している。およそ1200年前に発明されたという説があるが、広く普及するようになったのは江戸時代から。当初は主に宗教的な行事に使用されており、それほど注目を浴びることもなかったようだ。

1650年頃、銭湯文化と綿栽培の隆盛を受けて、手ぬぐいは多くの人に使われるようになる。その後は、お洒落なアイテムとして、バッグに忍ばせて入浴後にタオルがわりに使ったり、頭に巻いたり、パンツのヒップポケットに入れたり、台所でお猪口や食器を拭ったりするなど、さまざまな用途に使用されている。手ぬぐいは実用的な暮らしの道具であるだけではなく、その魅力的なデザインは生活を彩る小さなアート作品ともいえる。

手ぬぐいの際立った特徴の一つに縫い目がないことがある。これにはいくつか利点があり、まずは縫い目がないので、細菌が繁殖する場所がないこと、そして、あっという間に乾くこと、そして、裂けやすいため、一瞬で包帯がわりに使えることだ。登山など、アウトドア・アクティビティでも大いに活用できる。

この国で文化の西洋化が進むにつれて、手ぬぐいは忘れ去られた存在になっていたが、嬉しいことに、この20年ほどの間に再び人気が再熱してきた。再ブームの要因は諸説あるが、一番大きな理由は手ぬぐいがスポーツチーム、バンド、ブランド、ショップ向けのオリジナルグッズとして手軽に商品化しやすいことだろう。また、日本の伝統文化の再ブーム、グローバルファッショントレンドの影響、年々厳しくなる日本の暑さ、そして、最近は手ぬぐいを使って自分でマスクを作る人が増えていることも人気に拍車をかけている。

手ぬぐいは、本当に便利で楽しいアイテムだ。使い込むと、より手に馴染み、自分色にデザインが褪せてくるのも愛らしい。