Connect
with Us
Thank you!

PAPERSKYの最新のストーリーやプロダクト、イベントの情報をダイジェストでお届けします。
ニュースレターの登録はこちらから!

Tea Journey with aardvark tea
旅する茶の物語

vol.1
台湾と日本を結ぶ、“桜カカオティー”

その土地の物語を “ブレンド” してつくる、新しいお茶。お茶で表現する、文化や情景。一口飲めば、それは小さな旅の始まり。調合やスタイルまで、お茶をもっと自由で楽しいものにするブランド「aardvark tea」が紡ぎます。

06/09/2023

台湾と日本の“愛”の物語を、1杯のお茶に


大切な誰かとゆっくりお茶を味わう時間は、何よりも心豊かなひととき。
近年、台湾では「520」と「我愛你(= I LOVE YOU)」の発音が似ていることから、5月20日が愛情を表現する1 日となっている。「aardvark tea」とともにTea Journeyに出かけよう!

ティーレシピの監修を手がける、NO’AGE concentré 井谷匡伯さん。「その土地の香りや自然、風景なども、味わいの構成づくりのヒントになります」


桜を詠んだ“和歌”からインスピレーション

「愛を伝える日にふさわしいブレンドティー」、そんなテーマをaardvark teaのティーレシピ監修を務める、NO’AGE  concentréのバーテンダー・井谷匡伯さんに投げかけた。すると、会話のなかで一首の和歌が浮かび上がってきた。

「うすべにに 葉はいちはやく 萌えいでて 咲かむとすなり 山桜花」

歌人・若山牧水が静岡県湯ヶ島に逗留していた際に詠んだ歌だ。山桜花は近くで見れば清廉な白色をした小さな花であるが、少し離れると薄紅色をしたかわいらしい花に見える、という意味。井谷さんは牧水が見た情景を想像しながら、愛や恋心を表現するメインの素材として桜を選んだ。



台湾産カカオと日本の桜の出会い

もうひとつメインの素材として使用するのが台湾産カカオ。台湾カカオ栽培の歴史は、日本統治時代だった昭和2年、森永製菓の創業者・森永太一郎が台湾で栽培を試みたのが始まりだそう。台日の縁深いカカオ、日本を代表する花の桜、お茶のベースは香ばしく力強い焙煎赤烏龍茶、さらに味の厚みをプラスするために、甘茶やりんごを合わせた。

「恋愛を表現した歌の多い牧水が見た山桜花。萌芽のように咲き始めた恋心が花開く情景を感じさせる。フルーティーでスパイシーな台湾産カカオは、あなたとの出会い。紅く輝く焙煎烏龍茶は、ふくらむ恋心。桜の花は、密やかな想い。そして祝杯の花言葉をもつ甘茶は、その恋のゆくえ。薄紅色に頬を赤らめ、想いがあなたに届き、その恋がいつまでも続くように。そんな願いを込めたボタニカル・ブレンドティーです」



ほろ甘く、ほろ苦く。続く恋心のように

お湯を注ぐと、チョコレートのような香りが漂い、ひと口飲むと鮮烈な甘茶の甘さが、忘れがたい驚きとなって舌の上に広がる。その後にカカオのビターさ、桜の華やかさ、焙煎赤烏龍茶の香ばしさが口のなかで溶け合う、エキゾチックな味わい。2煎目は甘みが緩やかになりお茶の風味が印象的に、3煎目はよりまろやかで温かな余韻が。甘い初恋から、落ち着いたビターな大人の愛まで。一杯のお茶に、恋のドラマが詰まっているかのよう。

焙煎赤烏龍茶 / 富士山まる茂茶園
(日本・静岡)

1000年先の茶文化の未来を見据えた、お茶づくり

90余年にわたり富士山麓で茶業を営み、その5代目を担う富士山まる茂茶園の茶師、本多茂兵衛さん。焙煎赤烏龍茶は、浅く発酵した紅茶を焙煎することで、透明感のある果実の香りが生まれる。使用品種は「やぶきた」という日本茶の代表格。緑茶に使われることが多く「紅茶は上手くつくれない」というのが日本茶業界の常識だった。が、固定観念に捉われず従来と異なるアプローチをしてたどり着いたのが、このお茶だ。「研究であり、遊び心。皆が思いもよらないようなものをつくりたい。文化を先々に残すために。どういうふうにつないでいくか、それがすべてです」

カカオ / TERRA土然巧克力專門店
(台湾・台北市)

台湾の風土や文化をユニークな形で表現するチョコレート

「カカオ豆のすべてのフレーバーは大地から生まれると信じています。 私たちは “Bean to Bar”のコンセプトのもと、さまざまな産地のカカオの美しさを紹介し、異なる素材を組み合わせることで、チョコレートの無限の可能性を追求しています」。そう語るのはブランドを手がけるダニー・ヤン(楊豊旭)さん。『TERRA』はラテン語でland(大地)という意味。彼らは、豆の発酵、乾燥、研磨、成型と、チョコレートバーができるまでのすべての工程を自らが行う。オーソドックスなものから、鉄観音茶味(烏龍茶の一種)やカラスミ味など特徴的なフレーバーが揃い、台湾らしさを感じる新しいものづくりが魅力。

桜の花 / あきさわ園 
(日本・小田原)

山や暮らしを守り、時をつなぐ、力強い手仕事

日本では、古来より桜を食としても味わう文化がある。神奈川県の小田原や秦野エリアは、食用桜の一大産地。起源は江戸時代とされており、脈々と受け継がれてきた。小田原を中心に農業を営む「あきさわ園」は代々300年以上、この地で畑を耕している。「欲しい未来は自分たちで創造する」をコンセプトとして、持続可能な柑橘などの栽培をメインに、春には桜の収穫も行う。「この地域の桜文化は、天災・災害などを乗り越え百年以上続いてきた背景があります。地域として、歴史として、つないできた文化を大切にしながら、この場所ならではのものづくりをしたいのです」。家業を継いだ秋澤史隆さんは語る。


台湾カカオと日本桜のブレンドティー“桜カカオティー”

甘く華やかな味わいは、食後のデザートティーとしても。一方、ビターな香ばしさはお酒のようにじっくりと嗜むのも一興だ。「大切な誰かと一緒に飲んで、穏やかな気持ちになってほしい。公園のベンチに座り、陽だまりのなかで、会話が踊り、心満ちていくような。そんな一杯になれたら嬉しいです」

温かなシーンに寄り添うお茶でありたい。aardvark tea では、産地や異素材、つくり手との出会いこそが創造の源泉と捉え、新しいお茶を提案していく。6月以降、aardvark tea Astand 店頭とオンラインショップにて、桜カカオティーを販売予定。


aardvark tea
aardvark tea Astand
静岡県静岡市葵区宮ヶ崎町76

text | Miho Kobayashi photography | Hitoshi Ohno illustration | Asami Hattori