尾道に生まれる、お茶との接点
「自分のアイデンティティに自信がなく、日本から逃げ出したかったんです」
高橋玄機さん、通称ゲンさんは10代をそう振り返る。被爆3世として生まれ、日本文化に深みを感じられず、高校卒業後にハワイの大学へ進学したが、1年で退学した。
「胸を張って発信できる日本文化は何か、悩んだ末に出た答えが茶でした。千利休や丿貫を勉強し、日本茶は世界に誇れると思ったんです」
ゲンさんは2016年に「TEA FACTORY GEN」を設立した。尾道に隣接する世羅で樹齢半世紀を超す茶樹から在来種を栽培。3年後には築70年近い茶工場と出合い、本格的に生産をスタート。尾道の商店街に「TEA STAND GEN」をオープンした。無肥料・無農薬を徹底する在来茶は茶葉本来の甘みが感じられ、優しい味わいと評判だ。


「最初はお茶を自己表現と捉えていました。1号店で提供しているのも自分の茶葉だけ。でも、お茶文化が衰退しつつある今、いくらつくっても売り先がないと意味がありません。今年6月にオープンした2号店の『茶立玄 山手』をとおして、お茶との接点となるような体験を提供していきたいと思います」


高橋 玄機/Genki Takahashi
1988年、広島県生まれ。世羅で広島在来茶を栽培・製造する「TEA FACTORY GEN」の他、尾道で「TEA STAND GEN」と「茶立玄 山手」を営む。自慢の茶葉はオンラインストアから注文できる。