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BEYOND the STAY

SARUYA HOSTEL

このシリーズは、日本全国にある素晴らしい視点とインスピレーションをもつ人々が運営するユニークな宿をご紹介。これまでの宿とは一線を画す発見とともに、新しいスタイルの体験へ出かけましょう!

02/18/2025

SARUYAは、2015年に八木毅さんが株式会社DOSOとともに開業したゲストハウス。富士吉田ならではの型にはまらない不完全な魅力を味わえる本物の体験を提供することを目指している。伝統的な日本家屋と近代的なデザイン感覚を独自に融合させ、ノスタルジックさ(昭和時代の魅力)とすっきりとした近代性(モダンな宿泊施設の快適さ)を兼ね備えた雰囲気のある宿だ。

宿の建物は築90年の古民家をリノベーションして美しく生まれ変わらせたもの。古民家の木造の梁をはじめとする既存の部材をそのまま使用し、新たに調達した年代物の窓を組み込んで、「完全な不完全(perfect imperfection)」を体現する空間を生み出している。

この宿に宿泊した人たちは、細部まで配慮が行き届いた滞在を楽しむことができる。人数分の布団タイプのベッドを備えた畳敷きの部屋から、地元の機屋によって作られた美しいリネン、 地元産の手摘みのお茶が味わえる共用ラウンジまで、宿のあらゆる要素が、宿泊客へ地元または宿の一員として溶け込んだ感覚、すなわち「コミュニティ意識」を強く感じてもらえるようデザインされている。SARUYAと八木さんの個性的な特徴は、創造性に対する情熱と地元の魅力を伝えたいという熱意である。

八木さんたちはSARUYAを開業したのちに、アーティストが泊まり込んで作品作りに没頭できる宿泊施設の「SARUYA Artist Residency」、「FabCafe Fuji」(ここのベジタリアンラザニアは実に美味しく、これを味わうためだけにでもこの地を訪れる価値がある)、SARUYAより規模の小さな宿をいくつか立ち上げたほか、隔年でテキスタイルの芸術祭を開催している。八木さんに自身や富士吉田のまちについてもう少し聞いてみた。そのインタビューの内容を以下に紹介しよう。

── 八木さんの仕事に名前をつけるなら、どんな名前をつけますか?

難しいですが、良い質問ですね。私の仕事はこのまちに対する新しい視点を見出して、富士吉田が持つ、まだ発見されていない特色を探しだすことです。そして、人々がそうした視点や特色を体験できる機会をつくり運営することで、最終的にこのまちの発展に貢献していく。私はそれがまさに市民の定義だと感じているので、自分自身をアクティブシチズンと名乗るのが良さそうです。


── 八木さんがそもそも富士吉田に惹かれたのはなぜですか。どのような点に魅力を感じましたか。 

私は日々の生活の中で自然を感じながら暮らしたいと思っていました。そして、ある程度の人口がありながらも、適度に心地よい近所づきあいができる場所に住みたいと考えていたため、富士吉田に惹かれたのです。ここには空き家がたくさんあるので、そうした空き家を活用すれば、若い人たちへ機会を提供できるのではないかとも思いました。

── HERBSTAND、TENJIN FACTORY、Watanabe Textile など、さまざまな素敵な製品を使用されていますが、これはあなたの考えるおもてなしの重要な側面でしょうか?もしそうであれば、理由を教えてください。

私たちは、このまちに新しい価値をもたらす人を発掘して、宿泊客の皆さんに紹介したいのです。SARUYAを、新しい価値の創造者であるクリエーターたちとこのまちを訪れる旅行者たちをつなぐ架け橋のような役割を果たす場にしたいと考えています。今後も、この地域の文化と自然に真剣に向き合っているクリエーターたちをさらに発掘して紹介し続け、持続可能なサイクルをつくっていきたいと思います。

つまり、地域のツーリズムを創出して維持していくことを重視しています。このまちのあり方や景観は、人々の情熱や専門知識によって変化します。そのような変化がまちの個性をつくっていくのです。

── あなたとSARUYAが計画している今後の活動を教えてください。

この地域では変化が加速的に進んでおり、古い建物が次々に姿を消しています。私たちは古い建物がもたらす独自の美しさを保ちながら、うまくリノベーションすることに重きを置いています。SARUYAが主軸として展開する3つの事業を拡大することにより、私たちのビジョンに共鳴し、同じ志を持つ人々を集めて、このまちの文化的な魅力をともに育んでいきたいと考えています。 

新たな取り組みとして、文化に関心を持つ人たちが毎晩集まり、人生やさまざまな芸術について有意義な会話を交わすことができる空間づくりを考えています。この空間を、人々がより深い話題を求めて話し合い、知的で文化的な意見交換を促す場にしたいと思います。また、地元の飲食店や魚市場などの事業者から出る生ごみをリサイクルするコンポストステーションも設立したいと考えています。私たちは今後10年間に、人々がお互いから学べる場をつくることを目指しています。




富士吉田の地に真に根差したこの宿に滞在してみたい人は、SARUYAのウェブサイト(https://saruya-hostel.com/)にアクセスして詳細をご覧ください。日本の文化や地域が体験できる日本各地の面白い宿を取り上げた記事をこれからもお届けしていきます。