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萩ゲストハウス ruco

萩の風景がこの十数年で少しずつ、でも着実に変わりつつある。 旅人や住民の新たな交流の場になるよう名づけられたゲストハウスから、ゆるやかに生まれるつながり。 「ここがあるから移住してきた」「お店を構えたのはここのおかげ」と 証言が相次ぐ場を育んだ、ある“萩の人”について。

10/01/2025

つくりたかった町の風景


「町をたくさんの人が歩いている、そういう風景をつくりたかったんです」

ゲストハウス開業の経緯を尋ねると、オーナーの塩満直弘さんはきっぱり言った。生まれも育ちも萩。人一倍の郷土愛があるからこそ、もっとおもしろい町にしたかったし、町に選択肢を増やしたかった。

「18歳で萩を飛び出した後、カナダやアメリカで2年間を過ごしました。そのときに出合ったのがゲストハウスの文化。旅人や地域の住民と、ラウンジで初めて顔を合わせたのもつかの間、気づいたときには肩を組んで楽しく飲み交わしていたんです。なんか町に受け入れられた感覚がしたというか……場をもつことで、こういう体験を萩でも提供したいと思うようになりました」

最大4名で宿泊できる2階の洋室。広々としたカウンターテーブルも併設
朝食は国産小麦のベーグル、グラノーラヨーグルト、萩野菜のピクルス 

各地のゲストハウスを訪れ、見識を深めた後、萩に帰って巡り合ったのが現在の物件。以前は楽器店だったという4階建の古ビルをリノベーションし、1、2階は原体験をもとにしたラウンジスペースを構えている。

萩や旅に関連した蔵書がそろう2階のソファスペース。階段の壁面には萩焼のタイルや大漁旗など地元ゆかりのものを採用 

「萩は車社会ですが、歩かないと気づけない情緒や生活の気配があります。泊まりにきた旅人にそれを楽しんでもらいたいですし、住民と会話して価値観を振りまいてもらうことも、萩にとっては絶対的に大事。歴史一辺倒の町おこしだけでは、萩の可能性にも選択肢にも限界があるでしょう。価値観を広げてもらえたり、何かを新しく始めようと思ってもらえたり。そういう発信をこの場をとおして続けていきたいです」

町歩きのヒントがつまったオリジナルのイラストマップ。昼版と夜版がある 

おすすめの食事処を聞くと、塩満さんが挙げたのはガイドブックにはないお店ばかり。そのなかのひとつ「小料理 ふみ」を訪れると、宿泊先を知ったおかあさんに言われた。

「塩満さんは努力や苦労を表に出さないでしょ。あの人は偉いよ。“萩の人”だよ」

萩ゲストハウス ruco

2013年にオープンしたゲストハウス。交通の中心である萩バスセンターから徒歩1分の距離にある。客室は洋室、和室、男女混合ドミトリーの3種類。長期滞在に嬉しいキッチンスペースも併設。窓からは、萩の象徴的な風景である指月山や城下町を眺望できる。1、2階がカフェラウンジスペースとなり、宿泊客はもちろん、飲食のみの目的で立ち寄る地元住民も多い。2020年からは下関のJR阿川駅に、小さな町のキオスクとして「Agawa」を展開中。

山口県萩市唐樋町92
TEL:0838-21-7435

PAPERSKY no.72 | YAMAGUCHI|Walkable
山口の歴史街道を歩いて巡ることから見えるものとは何か。作家・写真家のクレイグ・モドさんを旅のゲストに迎え、歩き旅の出会いを楽しみながら、山口ならではの文化の奥行きについて探ります。
photography | Evan Lin text | Yosuke Uchida Special Thanks | Nagato City Tourism Policy Division