日本のコンテンポラリーなライフスタイルブランドは、勢いのあるストリートカルチャーやシーズンごとに新しいコレクションを発表するハイブランドの影響を大きく受けているが、今回紹介する新興ブランドのスタンスはそれとは異なるものだ。彼らは、日本の豊かな自然に目を向け、クライミングの際などに使い勝手が良く、アウトドアに縁のない人でも惹きつける魅力があるウェアとギアをデザインして、新たな市場を牽引し始めている。
現在急成長のハイブリッドブランド。これまでのアウトドアウェアに対する既成概念を覆し、よりファッショナブルで機能性の高いウェアとアクセサリー、ギアをデザインしている。タープを模ったロゴが印象的なこのブランドのウェアは日本アルプスでも、渋谷でも違和感なく着こなせる。
and wanderは、2011年に創立されたばかりだが、国内ではもちろん、海外でも注目を浴びており、SalomonやBarbourとのコラボも行なっている。デザイナーの池内啓太さんと森美穂子さんはともにISSEY MIYAKEデザインチーム出身なので、ファッション性の高さが評価されているのは当然とも言える。
最近、and wanderは、PAPERSKYとコラボレートし、代々木八幡にOUTDOOR GALLERYを開廊した。この小さなギャラリーでは、アウトドアシーンにインスパイアされたアートが展示され、and wanderの商品とともに、PAPERSKYの旅のグッズも販売されている。
公式サイトで「私たちはハイカーです」と明言しているように、山と道はオーセンティックな山道具のメーカーだ。2011年、鎌倉在住の夫婦2人でスタートしたこのブランドはハイキングにフォーカスしており、彼らの実体験に基づいて開発された超軽量のウェアやバックパックは街にもフィットするデザイン性の高さが特徴だ。
美しいウェアとバックパックなどのデザインのほかに、オフィシャルウェブサイトのJournalでは、ハイキングツールのマテリアルや機能性についてのレポートも積極的に行っている。また、日本各地のアンバサダーと発足したハイキングカルチャーを育むコミュニティ、山と道HLC（Hike Life Community）の活動もアクティブだ。
マウンテンバイクを愛するバックデザイナー2人（ともに20年以上のキャリアを有するベテランデザイナー）が東京の下町で立ち上げたブランド。2015年の創業以来、一貫して「自分たちが作りたいものを作る」というパンク・スピリットを貫いて製作を続けている。ほぼ毎週、鈴鹿、秩父などの山域で自社製品の使い心地をチェックしているので、デザイン性の高さだけではなく、実用性に富んでいることも強みだ。
「マウンテンギアブランド」を標榜している通り、RawLow Mountain Worksは、バックパック、サコッシュ、サドルバッグなどをメインにデザインしている。“Bike N’ Hike”は、PAPERSKYの編集長、ルーカス B.B.のコンセプトをベースに作られた大容量のサドルバッグで、 バイクから外すと、バックパックとしても使える優れモノ。別売りのショルダーハーネスとウエストベルトのキット、Mountain Kitをこのバッグに取り付けると、よりフィット感と背負い心地が高まる。
京都発のこのブランドのコンセプトは、以下の通りとてもシンプル。「最低限の要素から、最大限の軽さと使いやすさを引き出す」。プロダクトデザイナーの羽地慎吾さんは東京のプロダクトデザイン事務所、関西の掃除道具メーカーの企画デザイン職を経て独立。会社員時代、多数の人たちの意見が少しずつ取り入れられた結果、バランスの悪い商品が出来上がってしまうことに多大なストレスを抱えていたと言う。
クライアントの気持ちでデザインに向き合うことで、羽地さんがこれまで会社員時代に感じていた苛立ちは治り、MINIMALIGHTの一番人気商品、Play Walletのように、自分が心から納得できる商品のみを製作することができるようになった。クレジットカードと折り畳んだお札のサイズをベースにデザインされたPlay Walletは、おしゃれなレザーバージョンと、防水性に優れたX-PAC素材（登山にぴったり！）バージョンが購入可。
国内外のアウトドアブランドとのコラボレーションで、PAPERSKYは、街で、そしてアウトドアで使える機能性に優れたさまざまな商品とトラベルグッズを企画してきた。 Papersky Store では、日本をはじめ、世界各国から厳選した軽量でコンパクトな商品、ウェアのほか、and wander、山と道、RawLow Mountain Works、MINIMALIGHTとのコラボレーション商品も販売している。
PAPERSKYのラインナップ中でも、Traveller’s Tenugui は、日本全国27箇所の土地をイメージしたカラーやパターンを使った手ぬぐいで、PAPERSKYが大切にしているメッセージである「時間、カルチャー、そして自然をつなぐ」を具現化したようなこの手ぬぐいは、アウトドアでも街でも使い勝手抜群の逸品だ。