権太坂を上り、ラスト3kmのアップダウンを駆け抜けた各校のエースたちが懸命に襷をつなぐ。あるいは、復路のエースたちがひとつでも上の順位でアンカーにつなぐべく、颯爽と駆け出していく。2区から3区へ、そして8区から9区への襷リレーが行われてきたのが、戸塚中継所である。中継地点にある釣具店・タックルベリーには、支店名の「戸塚中継店」がどこか誇らしげに掲げられている。

「箱根駅伝ウォーク Part 2」はタックルベリー戸塚中継店で一歩目を踏み出した。アトモス代表の本明秀文さんの呼びかけに集まったのは、スニーカー好きとしても知られるトライアスリートの大谷遼太郎さん。青山学院大学の箱根ランナー(2・10区)でもあった大谷さんは、戸塚中継所に立つなり「懐かしい!」と大きな声を上げた。


XT-6 Black / Magnet / Evening Primrose ¥27,500(税込)
大谷さんは3区を「つなぎの区間」と形容した。主力が走る1・2区に続く区間としてリズムを作って4区、そして山登りの5区へとつなげていく。「スマートなランナー向け」と言葉をとつづけたように、下り基調でフラットな道のり。横浜市から藤沢市、茅ヶ崎市へと続くルートは、旧東海道とも時に重なり、時に並行するように延びている。箱根ランナーだけでなく、古くから人や物資、文化が行き交った道なのだ。
「昔の人の考え方やスピード感を知れることが歩く旅の醍醐味だよね」とPAPERSKY編集長のルーカスB.B.が道中で話した。約800mで標高差約30mを下る遊行寺の坂を歩き、一遍上人に由来する時宗の総本山、遊行寺に寄り道。石畳の参道を歩いていると、古くから人々の信仰を集めた大山が遠くにそびえていた。

遊行寺そばのふじさわ宿交流館で「やっぱりさ、歩いてみないとわからないことがあるよね。箱根駅伝はテレビで観ると華やかだけど、実際に歩くと自然が感じられる場所が想像より少なかった。それでもところどころに歴史が感じられるのがいいね」と言葉を漏らしたのは本明さんだ。四半世紀にわたり日本のスニーカーシーンを牽引。昨今のブームの立役者は、約10年もの間、毎朝4kmのウォーキングを日課にしているという。


「それにこういうコミュニティをつくって歩くことでニーズを知るということも、スニーカービジネスには大切なんじゃないかな。大きくいうと世論なようなものがコミュニティにはある気がする。このウォーキングクラブもそのきっかけになればいいね」


住宅街が広がる戸塚に始まり、商業ビルが並ぶ藤沢を過ぎて、南側から湿った風を感じられるようになれば、湘南エリアに入った証である。「3区の後半10kmは海沿いの一本道。景色が変わらず、進んでいる感覚がないので、走っているとペース感覚がつかみにくいんです」と解説する大谷さんがこの日に履いていたのは、サロモンの「XT-6」。安定性と衝撃吸収に長けた長距離向けのシューズは、歩き旅にこそぴったりかもしれない。


XA PRO 3D Olive Night / Olive Night / Peat ¥17,600(税込)
茅ヶ崎からの箱根路は平塚中継所まで海沿いの一本道が続いている。海風を遮る防風林は箱根ランナーに心強い存在だろうが、今回はあくまで歩き旅。海岸に出て、「湘南海岸・砂浜のみち」を歩いていくことにしよう。整備された遊歩道は快適で、水平線が見渡せる眺望も抜群。砂が堆積する場所に出くわすと、ルーカスの足元ではサロモンの「XA PRO 3D」が抜群の安定感を見せていた。悪路や悪天候でも、その性能を大いに発揮するトレイルランニングシューズである。


(写真左)XA PRO 3D Rainy Day / Vanilla Ice / White ¥17,600(税込)
後方に江ノ島や辻堂海岸を見やりながら、茅ヶ崎パーク、サザンビーチちがさき海水浴場へと進んでいく。同じく箱根路を進むと思しき市民ランナーがいれば、海に浮かぶサーファーも、砂埃を舞い上げながら漕ぐサイクリストもいる。気づけば、遥か前方にそびえる箱根の山々がだんだんと大きくなっていた。

そして湘南大橋を渡って平塚市に入り、さらに花水川橋を越えればついに平塚中継所でゴール! 箱根駅伝においては「つなぎの区間」でも、歩いてみることで街道の歴史や、海沿いの開放感が感じられた。さらなる発見があったときには、箱根の山々がもっと近く、さらに大きくなっているのかもしれない。

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