箱根駅伝を走ったランナーであり、スニーカー好きとしても知られるトライアスリートの大谷遼太郎さんをゲストに迎えた「箱根駅伝ウォーク Part 1」。スタート地点は大手町の読売新聞東京本社。週末の早朝、通行人がまばらな大手町。ここに二重三重、それ以上の人だかりができ、かつての大谷さんのような大学生が駆け込んでくるのが、そう、正月の風物詩である箱根駅伝だ。
箱根駅伝の正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競争」。主催は関東学生陸上競技連盟、共催は読売新聞。連盟の加盟大学のうち、前年大会でシード権を獲得した上位10校と、予選会を通過した10校、それに関東学生連合を加えた合計21チームが襷をつなぐ。読売新聞本社前と箱根の芦ノ湖を往復する合計10区間は217.1kmに上り、学生長距離界では最長の駅伝競走だ。


大谷さんが青山学院大学の襷をかけて走ったのは、3年時の10区と4年時の2区。10区は方向が真逆になるだけで、1区とほぼ同じ区間である。
「大学の史上最高順位がかかっていて、ゴールテープを切るまではプレッシャーはハンパなかったですよ」

「1区と10区は東京の都心部を走るのでビル風が強烈なんです。でも僕は周りを見ながら走るタイプなので、その意味では楽しかったですね。真っ赤な東京タワーや増上寺、大きなビルがいくつもあって、東京らしい風景がつづきます」


大手町をスタートした後、箱根路は皇居、東京駅、東京タワー、増上寺のそばを通り、品川と川崎を抜けて、横浜の鶴見中継所へとつづく。21.3kmにわたる道のりはランニングコースとして親しまれており、市民ランナーに追い抜かれては、その姿がどんどん小さくなっていった。
この日、大谷さんの足元を支えていたのは、2022年4月にサロモンからリリースされたばかりの「GLIDE MAX」だ。超軽量で抜群のクッション性を誇るだけでなく、ソールの耐久性も兼ね備えた厚底ランニングシューズである。

GLIDE MAX Lunar Rock / Black / Tanager Turquoise ¥17,600(税込)
「クッションの強弱バランスが絶妙です。それにこのファッション性。今日みたいな街中のウォーキングにもぴったりじゃないですか。僕はトライアスロンで世界を転戦していて、海外選手には私服にも合うようなシューズが多く、荷物を減らせているのがうらやましく思っていました。サロモンというとトレイルのイメージが強かったんですが、これは街履きにもいいですね」
18km地点で多摩川にかかる六郷橋の下りは1区のスパートポイントである。こうして箱根路を歩くのは初めてという大谷さんはシューズの推進力を得て軽やかに進んでいった。鶴見中継所で1区は終わり、2区へと襷リレーが行なわれる。その様子を刻んだモニュメントは四半世紀にもわたり、数々のドラマを見守ってきた。
「箱根駅伝は見ていてエキサイティングだし、日本的なカルチャーだと思うよ。アメリカにこういうのは絶対ないから!」
この日の箱根駅伝ウォークに参加したPAPERSKY編集長のルーカスはそうつぶやいた。なかでも鶴見中継所から先は「花の2区」と呼ばれるエース区間であり、大谷さんも主将を務めた最終学年で好走。18位で襷を受け取ると7人抜きの走りを見せた。青山学院大学史上初の総合優勝はその2年後のこと。ごぼう抜きの活躍が大学にもたらしたものは大きかったに違いない。


23.1kmにも上る2区は、復路にあたる9区と並んで10区間の最長区間だ。前半はスピードに乗りやすい平坦な道が続くが、13〜15km付近には難所の権太坂があり、戸塚中継所に至るラスト3kmにも厳しい上り坂が待ち構える。速さだけでなく強さも求められるのが、エース区間たる所以だろう。

XT-6 Black / Deep Teal / Biking Red ¥27,500(税込)
約1.5kmで20mも上る権太坂でさえ、ルーカスはサロモンの「XT-6」を履いて快調に進んでいた。安定性と衝撃吸収力にすぐれた長距離向けのシューズである。「横浜のような都会的な街を歩いていても違和感がないデザインだったのがうれしいね。足首をしっかりホールドしてくれるし、雨の日とか、土が混じるようなコースとかにも合いそう!」

SPEEDCROSS 3 Cherry Tomato /Lemon / Silver ¥19,800(税込)
そして、歩行距離が延びるにつれて、サロモンの「SPEED CROSS 3」を履いた参加者もまた、シューズのパフォーマンスを強く感じるようになっていた。ダイナミックなアッパーで自然かつ快適な足運びを実現。アスファルトを蹴るときやブレーキをかける際のグリップ力にすぐれ、厳しい2区にその強さを発揮していた。


44kmを超える「箱根駅伝ウォーク Part1」は、戸塚市に入る頃には日没を迎えつつあった。そこで遭遇したのが、箱根路に面した地元不動産会社による箱根駅伝応援看板。往路と復路、どちら側から見ても、これまでと残りの距離がわかるようになっていた。
「箱根駅伝は地元の人に愛されているんだね。僕がよく旅をする古い街道もそうで、たくさんの人が歩いていたから、過去と現代がバランスよくミックスされている。今回のコースは走るための道だけど、それでも歩く旅はやっぱり楽しいね。44km、がんばればもう少しかな、1日でどれだけ歩けるかを把握できるのも重要なことだと思うよ」
そう楽しげに語るルーカスは、箱根駅伝マンホールを見つけては喜びの声を上げ、この日の目的地だった戸塚中継所では両手を挙げてゴールした。その達成感に満ちた姿は、スタート地点で目にしたランナー像のモニュメントと少しだけ重なった。

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