熊野詣の前に、入浴できる世界遺産へ
江戸時代から旅人に愛される、熊野の名湯
熊野本宮大社周辺では川湯温泉、渡瀬温泉などが熊野本宮温泉郷を構成しているが、そのなかで最も古く由緒があるのが、“およそ1800年前に発見された日本最古の温泉”といわれる湯の峰温泉だ。平安時代に始まった熊野詣は江戸時代に庶民に広まり、爆発的なブームとなったが、遠方から熊野を目指した旅人たちは参詣前日ここに滞在して湯垢離を行って身を清めたとか。
熊野詣でとゆかりの深い背景から、熊野古道の一部としてユネスコ世界文化遺産に登録されたのが、温泉街のなかほどにある「つぼ湯」だ。


日光の加減によって1日に7回湯の色が変わるという神秘的なエピソードをもつほか、近隣には13世紀末に熊野本宮大社で100日間の行を行って神託を受けた一遍上人が、爪で経文を刻んだという伝説の岩「爪書き岩(一遍上人名号碑)」を残す「つぼ湯」。周囲を板で囲っただけの、深さ80cmほどの小さな岩風呂だが、そのパワー溢れる湯は「皮膚病に効く」として、江戸時代からその名を全国に轟かせていた。
繁忙期には2時間待ちもざらという人気の温泉だが、「入浴できる世界遺産」なんて日本でもここだけ! 心して行列に並びたい。

泉質は硫黄泉ナトリウム炭酸水素塩泉、源泉温度は約93℃。30分交代制の貸し切り風呂で、石鹸類の使用は不可。受付は近所の公衆浴場の番台で行う。大人900円。
和歌山県田辺市本宮町湯峯108
TEL:0735-42-0074
熊野の田んぼから生まれた、白米×南高梅のご褒美スイーツ
100%和歌山県産の氷菓!
梅干しと白米が国民食なら、ライスミルクと南高梅ソースを使ったこのアイスは“国民スイーツ”といえるかもしれない。「熊野米アイス」はその名のとおり、熊野米のライスミルクで仕立てた氷菓。米由来のくせのない味わいと滑らかな口あたり、優しい甘みが特徴で、黄赤色に熟した南高梅をピューレにした酸味の効いたソースとの相性が絶品。
手がけるのは、卸小売業を営む農業法人代表の田上雅人さん。熊野地域で栽培した米の価値を見直し、おいしく味わうという「熊野米プロジェクト」の発起人でもある。
「理念に共感してくれる農家さんと『ヒカリ新世紀』という品種を、梅の調味液を活用して農薬の使用を抑えて栽培しています。この熊野米で、少し贅沢なアイスをつくりました」

熊野米プロジェクトでは水田を守るために広葉樹の植林から行っている。広葉樹林からもたらされたミネラル豊富な水は水田を潤し、川を通じて、海をも豊かにしている。
水田を守り、地域の自然環境を守り、消費者の意識を変え、後継者を育てて農のバトンを次世代に渡す。米から生まれた冷たいスイーツが生産者たちの思いを未来につなぐ。

熊野米アイス
乳製品不使用、熊野米由来のライスミルクでつくられた植物性の氷菓。「完熟南高梅」の他、県内産だいだいを使用した「だいだい」、お米本来の味わいを楽しむ「プレーン」がある。紀伊田辺駅前の「tanabe en+」などで販売予定。