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BESS × PAPERSKY

静岡県・焼津で見つけた
BALANCEの良い、暮らし

One Japan ~ 47 Neighborhoods

日本各地にはそれぞれの魅力やオリジナリティがあり、それぞれの地域はつながりあい、影響しあいながら独自のカルチャーを育んでいる。 47 Neighborhoodsは、そんな日本の各地方で実現可能な「クリエイティブで豊かな暮らし」を、BESSとPAPERSKYが探す旅の物語。第1回は静岡県焼津市を訪れた。

06/16/2021

全国屈指の港町として知られる焼津市。市内には3つの漁港があっていつでも新鮮な海の幸を楽しめる土地だ。海の香りが漂う市内を気持ちよく車で走り抜け、目的地へと向かうのはPAPERSKY編集長のルーカス。手には亀節(鰹節)を模した銘菓「亀寶(きほう)」を持って。

訪れた人/ ルーカスB.B.(PAPERSKY編集長)
訪れた人/ 児玉純弥さん(木工アート工房「KDM PRODUCTS」主宰/焼津市在住)
迎えた人/ 増田勇喜さん(薪アートブランド「kokenen firewood/こけし燃料」主宰/焼津市在住、BESSの家オーナー)

1. 薪を集めるという楽しみに目覚めて



焼津に生まれ育った増田さんは念願だったマイホームを手に入れ、家族3人で暮らす。家を建ててからは会社に勤めながらも趣味に没頭。趣味とは薪を集めること、そして薪を使って楽しむことだ。


増田 「はじめはアウトドアブームに乗って薪に興味を持つようになったんですけど、なんだか薪を集めることが楽しくなっちゃって。ただ薪を眺めているだけでも幸せなんですけどもっとのめりこみたいと思っているうちに、薪を使って何かを作りたいという気持ちも湧き上がってきたんです」

ルーカス 「面白いよね、これ。薪に取っ手がついてて可愛いし」

増田 「薪割り台として使ってもらってもいいし、オブジェとしても。ただハンドルをつけただけなんですけど作っている時間が楽しくて」

ルーカス 「もともと何かを作るのが好きだった?」

増田 「この家を建てたのがキッカケだったかな。サーフィンと音楽が好きだったんですけど、好きなカルチャーをつねに感じられるような雰囲気の家に住みたいなと思って、このBESSの家に決めた。もちろん薪ストーブとセットで。住み始めたら自分の好きなものに囲まれる生活がどんどん楽しくなってきて、何か新しいことをやってみたいっていう気持ちもふくらんできて」

ルーカス 「それで薪を集めるようになったの?」

増田 「そうそう。木を集め始めたら広葉樹、針葉樹、燃えやすい木、そうでない木、見た目がお気に入りの木とか、いろいろ種類があることに面白さを感じて、薪がどんどん増えて(笑)。薪を割った時の匂いもまたいいんですよね〜」

児玉 「薪集めって燃やす2,3年前から始めないといけないでしょう。だから僕はなかなか薪ストーブに手が出せない。大変じゃないですか?」

増田 「まあ大変ですけど薪に囲まれる生活が幸せなので(笑)。伐採した木を、税金を使って処理してるという話も聞いて、じゃあ僕が集めて薪にして再利用してもらえば社会の役に立つ部分もあるんじゃないかと思ったんです」

ルーカス 「都会の家ではこういうことできないよね。自然に囲まれた土地、ゆっくり流れる時間とかに影響されると何か新しいことを始めたくなる」

増田 「そうですね。ただ材木を集めてきて薪にして燃やしたり、飾ったり、焚き火イベントやフリマに出店したり。自分の収集癖に火がついた感じです(笑)。仕事とはまったく違う楽しみができてどんどんハマっていってるんですよ」

ルーカス 「焼津って海の町なんだけど実は山も近くにあって絶妙だよね。ここから眺める富士山の景色ってあまり知られていないようだけどとってもカッコいい。山の近くに住んでるっていうことを感じられる薪集めは楽しいだろうし、こういう家に暮らしていると確かに何かを始めたいっていう気持ちが盛り上がりそうだね」

2. これから面白くなりそうな町、焼津



ここでしばしお菓子タイム。地元の銘菓を頬張りながら、焼津という町について話が広がる。


ルーカス 「僕の奥さんの実家が焼津で20年以上前からよく来てる。最近は2週間に一回くらいのペースかな。オフィスがある渋谷と焼津の二拠点生活のような暮らしになってきて、こっちで仕事をすることも増えたんだけど、もちろん渋谷とはまったく違う環境だからライフスタイルのバランスを取るのにいい場所だよ」

児玉 「昔から船乗りさんがたくさんいるからお酒を飲む店がとっても多いんですよ、焼津は。海のイメージが強いけど、たしかに山にも恵まれてる。最近、僕も何か新しい趣味を見つけたいなと思って家族で山歩きを始めたんです。それまで焼津で遊ぶっていうことをほとんどしてこなかったんであらためて自然に囲まれた場所なんだって気づいた」

ルーカス 「焼津って古事記にも登場するの、知ってる?」

児玉 「そうだよね。歴史を感じる土地でもある」

ルーカス 「ラフカディオ・ハーンは焼津が好きだった。僕は彼にすごく興味を持っていて、ハーンと同じように焼津の海をとても気に入ってる」

増田 「僕はここに生まれて他の場所に住んだことがないけど、やっぱり焼津が好きでずっと住み続けたいと思ってるんです。なんだかうれしいな」

児玉 「ただちょっと残念な部分もあるよね。僕は焼津にあった昔ながらの商店街がとても好きだったんだけど少しづつそういう街並みが変わっていってる。もうちょっと古くていいものが残り続けてくれるといいんだけど」

ルーカス 「でも、気持ちいい場所はまだまだ残ってるよ」

児玉 「そうだね、水路があって、海があって」

ルーカス 「児玉さんと増田さんは焼津に住んでて、お互い知り合いだったの?」

児玉 「直接じゃなかったんだけど、共通の知り合いがいて」

ルーカス 「児玉さんも木工の人だし、増田さんも薪を扱ってて。やっぱりクリエイティブな活動をしてる人同士ってゆるやかにつながっていくよね。そういう人たちが少しづつ焼津には増えているような気もする。新しくてセンスのいいお店もちょっとづつできているし」

増田 「これからゆっくり盛り上がっていくといいですよね」

ルーカス 「これまで世界中いろいろな国や町に行ったけど、僕は”歩ける町”っていうのが好きだし、人が歩けるような町づくりをするとその場所が盛り上がっていくんだと思ってる」

増田 「どういうことですか?」

ルーカス 「歩いていて楽しい町って当たり前だけど人通りが多くなるでしょ。それでさらに歩く人が増えて賑わっていく。車が往来するだけじゃなくて人が歩くようになると、その場所は生き生きしてくる。焼津はもともと歴史を感じさせる素敵な土地なんだから、これから多くの人が出歩く町になっていくと面白い」

増田 「土地も物価も安いし、人ものんびりしてるし、魚はいくらでもあるし(笑)」

ルーカス 「アメリカだと海沿いの町って土地がメッチャ高いのにね」

児玉 「ずっといるとわからないけど、ひょっとすると住むには穴場なのかもしれないね」

3. バランスを意識したライフスタイルって?



ルーカス 「やっぱりお菓子が美味しいから話が弾むね」

児玉 「だね(笑)。鰹節のかたち、可愛いよね」

ルーカス 「児玉さんはずっと家具の職人で、今は会社勤めしながら木工の作品を作って販売もしてるんだよね」

増田 「どんな作品なんですか?」

児玉 「今は”BALANCE”っていう言葉をモチーフにいろいろ作品を作ってまして」

ルーカス 「なんでBALANCEにこだわってるの?」

児玉 「今、45歳なんだけど若い頃とは考えも変わったなって。これまでは自分がやりたいことをさんざんやってきたんだけど、小さい子供たちと同じ時間を楽しみたいなと思うようになった。要は自分の時間、家族の時間のバランスを変えようと。それでインドア派だった自分が山歩きなんかを始めるようになって、とても新鮮な気分になったし視野が広がってきたなと感じるんです。つまりライフスタイルのバランスを変えたわけで、バランスっていうのは深いなと(笑)」

増田 「面白いですね。バランスか〜」

児玉 「仕事とプライベートもそうだし、ファッションでも料理でもなにかとバランスって大事でしょう。だけど意識を変えるだけでバランスって大きく変えられる。バランスってあらためて面白いなって」

ルーカス 「僕は都会のスピード感も大好きだけど、田舎のスローな感じも大切にしてる。両方ないと自分のバランスがおかしくなるね。とても大事な言葉だと僕も思うよ」

児玉 「ルーカスは東京と焼津で上手にバランスをとっているよね」

増田 「僕は薪の世界が広がってバランスがよくなったのかな(笑)。今はやりたいことが100%できているのですべてに満足してるのは確かですけどね」

児玉 「それはバランスがいいんですよ」

ルーカス 「増田さんはお気に入りの家に住んで、仕事以外にやりたいことがやれて、最高だよね。世界中のいろいろな場所に行って気づくのは、田舎であればあるほどそこに住む人にはオリジナルの自分ワールドがそれぞれあるってこと。都会には何でもあるでしょ。だけど田舎では自分の世界を作っていかないとなかなか楽しくならない。だから自分ワールドを深める人が多いんだと思う。自分の世界を作るっていうのもバランス感覚だよね。焼津のようにゆっくり時間が流れる土地に住んで、こういうベストな家に暮らすと、ライフスタイルのバランスを調節するのも自然と上手になっていくと思う。増田さんとか児玉さんのクリエイティビティがゆっくりとつながっていくのも田舎の面白さで、そういうつながりが増えていくと町全体が豊かになっていくんだ」

増田 「薪が増え過ぎちゃって奥さんとか子供には”いい加減にして”ってよく言われるんですけどね(笑)。バランスを取りながら楽しんでいきます(笑)」

ルーカス 「みんなが持ってきたお菓子、まだまだあるよ」

増田 「じゃ、いただきますね(笑)」


増田さんがBESSの家「ワンダーデバイス」を選んだ理由とは?

「ログハウスも憧れだったんですけど、仕事をしながら趣味も楽しみながらと考えるとメンテナンスにはあまり時間と手間をかけられないかもなって。「ワンダーデバイス」をひと目見て、これしかないと即決でした。箱型のスタイルも面白いし、好みによって自分で作りこんでいける「完成してない」感じもワクワクして、気に入りましたね。サーフィンとか車とか、自分の趣味をいつも感じていられる家にできそうな気もしたんです。住んでみると、どんどん自分が開放されるというか、日常が楽しくなるのを感じました。薪ストーブが似合う内装ももちろん大好きです」


BESSの家
https://www.bess.jp