仕込み水は神秘の湧水
ひと口すすると、芳醇な果実味が華やかに広がった。白桃か、あるいはマスカットか。甘味や酸味、うま味が絶妙なバランスをなし、ミネラル感もしっかり感じられる。
まるでナチュラルワインやスペシャルティコーヒーのような感想が飛び出たのは、「大嶺酒造」のフラッグシップである「2粒 火入れ 山田錦」を飲んだときである。長門の隣、美祢に構える老舗酒蔵は、半世紀以上の休眠を経て2010年にリスタートを切った。


「この近くに別府弁天池があります。秋吉台のカルスト台地に磨かれた、神秘の水が湧き出る場所。石灰岩という天然のフィルターに濾過された湧水は、透明度が高いうえに軟らかく、ミネラルを適度に含みます。この湧水と同じ成分の地下水を使うことで、美祢の土地でしかできない、イノベーティブな酒づくりの実現を目指しています」
製造責任者の言葉どおり革新的な日本酒は、あまり馴染みのない方にも飲みやすく、ラベルのデザインも洗練されている。酒蔵はカフェを併設し、アパレルも取り揃えるが、まず手に取るべきは唯一無二の美祢の味だ。



大嶺酒造
酒づくりの歴史は古く、創業は1822年。1955年に一度は幕を閉じたが、故郷での酒づくりを志した秋山剛志により2010年に復活。国際的な日本酒コンテストで最高品賞に輝くなど、新進気鋭の酒蔵として国内外から注目を集める。
山口県美祢市秋芳町別府2585-2
TEL:0837-64-0700