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National Park Poster Trip
日本の国立公園を描く旅

Vol.2

日光国立公園


“Mountain Donuts & Blazes of Leaves”
CHALKBOY × PAPERSKY × DANNER × NATIONAL PARKS OF JAPAN

2020年、PAPERSKYは日本の国立公園のオフィシャルパートナーとなったことを機に、アーティストのCHALKBOYとともに「国立公園ポスタープロジェクト」を立ち上げた。そのミッションは、日本に34ある国立公園のオリジナルポスターをつくること。今回、PAPERSKYのルーカスとCHALKBOYは、「日光国立公園」を旅して描いた。

05/30/2025



紅葉のなかに見た、タイムレスな光景



朝10時半、JR日光駅に到着。みんなは少し遅れている。レンタカーを借りて、目的地を決める前に出発。ルーカスの記憶によれば、大きな木が並ぶ古い街道がよかったとのこと、車を停めて少し歩いてみることに。この日光杉並木街道は鉄道、車道、未舗装の杉並木通りが並行していて、杉の木も3〜40m級。樹齢300年超えのスケール感に圧倒される。よく木を見ると、1本1本に自治体や企業、個人の名が書かれた札がかけられている。これらはこの木を守るためにお金を寄付した人たち、企業、自治体の証だそうだ(1本1,000万円だそう!)。

途中、大きな熊手で落ち葉を集めるおじいさんとすれ違う。猫に話しかけているおばあさんもいた。神社まで歩いて折り返す。おじいさんは今度は背負うタイプの大きなブロワーで落ち葉を集めていて、おばあさんはまだ猫と話していた。杉並木通りを戻り、車で奥日光のアステリアホテルへ。硫黄臭たっぷりの温泉に浸かり21時消灯。

2日目。朝風呂に入って朝食会場へ。柔らかい光がレースカーテンの影をつくり出す。雲ひとつない完璧な青空のもと車で赤沼自然情報センターへ。車を停めて車道脇からすぐに森のなかへ入る。橋を渡るとウッドデッキのハイキングコースが現れ、湯ノ湖までの全長7kmの間ずっと続いていた。おかげで大変歩きやすく、どれだけ人が歩いても自然環境が痛まない。しかも途中途中に休憩スペースや、地形、動植物、歴史にまつわる説明看板が設置され、立ち止まって休憩を取りながら理解も深まる、本当に親切なつくりだ。昨日杉並木で出会った、おそらく自主的に落ち葉掃除をしているおじいさんを思い出す。日光という土地の愛され方はレベルが違うように感じた。

日光湯元ビジターセンターでカップラーメンを食べて、バスで赤沼に戻り、そこから中禅寺湖へ。かつて家族と訪れたイタリア大使館別荘記念公園が忘れられず、リクエスト。再び訪れたこの建物はやはり本当に美しかった。主に杉の皮と竹が使われた内装と外装には、ワイルドさと繊細さ、圧倒的な手仕事の美しさ、和とも洋とも取れる文化様式美が詰まっていた。 別荘の桟橋に座ってスケッチ。どの場所でもスケッチが始まると「おい待てよ」と言わんばかりに、同行する写真家の西山勲さんがバタバタと撮影を始める。じつはそのバタバタぶりのかわいさ見たさに、トランジションなしにいきなりスケッチを始めてしまうのが癖になってしまった。

時計は16時。最後は夕暮れを見ようと、中禅寺湖展望台へ。男体山の先っぽにかろうじて夕日が残り、麓の中禅寺湖が夕日に染まる。暮れゆく空の色は、補充し忘れた万年筆のインクにホテルのコーヒーを足して薄めた、絶妙なインクブルーにそっくりだった。夕食をとってホテルに戻り、この日はサッカー日本代表戦で終了。西山さんはサッカーファンらしく、中継のやや難しい解説をさらに解説してくれて、ルーカスと一緒に楽しんだ。

3日目、最終日。まずは何時の電車で帰るかを先に決める。日光東照宮を見てないねと目的地が決まり、ドライブ開始。2日目より気温は上がるそうだが曇っていてまだ肌寒かった。

いろは坂をくねくね下る。木々に葉っぱが戻ってきて、景色は冬から秋へと逆回転。麓はまだ紅葉のまま待っていてくれた。黄緑ー橙ー朱色。あまりにもみごとなザ・ジャパニーズグラデーション。桜や紅葉など、わかりやすすぎる日本モチーフには興味をもてないと思っていたが、美しいものは美しく、よいものはよい。歴史を感じる東照宮周辺の風景に、自分が外国人になったかのようにシンプルに感動したのは初めてだった。逆に東照宮自体は自分にとってトゥーマッチ。あまりのデコラティブな色彩と装飾に少し胸焼けしてしまった。ハイシーズンの日光の人の多さに酔ってしまったのかもしれない。ツアーガイドの説明に時折拍手と歓声が沸き起こっていて、アミューズメントパークのようだった。

東照宮から坂を下り、歩いて最終目的地の金谷ホテルへ。その道中、小さく真っ赤な太鼓橋の上を神主と巫女に先導される新郎新婦に遭遇。僕がスケッチをし始めるよりも早く西山さんはシャッターを切っていた。なぜだろう、感動的な光景だった。燃え盛る紅葉の色の渦の真ん中に、この場所で何百年も執り行われてきたであろう晴れの日の儀式。大事にしたいという想い、国立公園に住む人たちの愛の結晶のように感じられたその光景に、後世に大切に残しながら楽しむという国立公園の本質が重なって見えた。


CHALKBOY(チョークボーイ)
カフェのアルバイトでメニュー黒板を担当したことからチョークアートの世界に。国内外の飲食店、企業、メディアなどへ作品を提供する他、イベントやワークショップも精力的に行う。手描き結社「WHW!」代表としても活動中。www.chalkboy.me


国立公園ポスタープロジェクト
PAPERSKYとアーテイストのCHALKBOY、アウトドアブーツブランド「Danner」による、日本の国立公園それぞれのオリジナルポスターをつくるプロジェクト。CHALKBOYとPAPERSKYが日本各地の国立公園を旅して描いたポスターは、オリジナルのグッズとして展開されている。
https://store.papersky.jp/collections/national-parks-of-japan-postcard

text & poster | Chalkboy photography & videography | Isao Nishiyama