身体が反応する器
工房内を見渡すと、ひとつのコーヒーカップが目に留まった。白無地のそれは、凛として端正なたたずまい。それでいて軽やかで、どんな日常にもなじみそうである。気づいたときには手を延ばし、家に置いた姿を想像しながら、なでまわしていた。

「水ノ上窯」は、毛利元就の菩提寺である洞春寺に位置し、舛井岳二さんが開窯した。成形、釉薬がけ、焼成などひとりで作陶。焼き上がりの瞬間が最も興奮すると話す。
「窯焚きには、コントロールできる部分があればできない部分もあります。全部が全部、想像どおりにできても楽しくないじゃないですか。自分の価値観を開いたり、閉じたりして……偶発的なものを取り入れることで、おもしろい発見ができるような気がしています。だから、器の用途だって使う人の自由でいいんですよ」

作為と無作為の間で行う器づくり。それはオルタナティブスペースの様相を呈する洞春寺の影響もあるだろう。アーティスト・イン・レジデンスとして、海外の陶芸家も受け入れている。工房の一角では、手づくりした穴窯が出番を待っていた。



山口出身の舛井さんが2021年に開窯。萩の大屋窯で修業した12年間の経験を活かし、萩焼の技術をベースにしながら、古陶にあるようなたたずまいの器を目指す。見学自由だが不定休のため、事前連絡を推奨。
山口県山口市水の上町5-27 洞春寺境内
TEL:090-4659-4378