世界を旅する料理人・船越雅代さんと 「好吃=おいしい」を見つけに、いざ、台湾へ!
石垣島からたった270kmの距離にある台湾は、食材に恵まれ、豊かな食文化を持つ島国。国内感覚で訪れる日本人をはじめ、おいしいものを求めて世界中から多くの観光客が訪れます。今回はそんな台湾を料理好きな地元のクリエイターに案内してもらいながら、彼らとともに台湾料理を作り味わいます。旅のナビゲーターは、料理家として多方面で活躍中の船越雅代さん。「Edible Landscape(=その土地のもので、その土地を味わう)」の活動をとおして、世界各地でプロジェクトを実施している船越さんと台湾を旅し、台湾で出会った食材で新しい台湾料理も創作します。また、自転車大国としての顔も持つ台湾。今回は古都・台南を拠点に、食をテーマにした自転車の旅も紹介します。
Editor’s Note
No.49 — TAIWAN(2015)
Hoja(おいしい)!
文:ルーカス B.B.
台湾の料理や食材の歴史を掘り下げると、この島を囲む海や山のように深い。台湾料理といえば、 中国本土からの移民がもたらした食文化だけでなく、日本的な食べ物もあれば、台湾原住民の食文化も混ざっていたりもする。台湾の食がユニークなのはここにある。中国各地のバラエティに富んだ料理に、原住民の食、オランダやスペイン、日本の統治時代にもたらされた各国の食文化の影響を受けながら育まれてきたからだ。つまり世界各地のおいしい料理のメルティングスポットというわけなのだ。
日本や他の西洋諸国の人々とは異なり、台湾人の多くは台湾料理を食べている。というのは、今日は和食、明日はイタリアン、次の日はハンバーガー、そして次の日はタイ料理といったように、毎日、異なる料理を食べる習慣が見られない。もちろん外国料理のレストランもあるし、さまざま料理も楽しめるのだが、基本的に台湾人は台湾料理を食べている。そしてよく食べる。夜になれば街のあちこちにさまざまな屋台が立ち、魯肉飯や牛肉麺、刈包や小籠包…といったおいしそうな食べもののにおいが漂ってくる。まるで、毎晩がお祭りのようでもある。こうした夜市で食べる食は僕らの胃袋を満たし、 栄養を与えるだけでなく、魂にも活力を与えるものである。そして各地の市場や屋台の存在は、その地域で暮らす人々や家族を結びつける役割も果している。だから台湾人はごく自然にコミュニティをつくり上げることができるのだ。
今号では、台北で活躍する男性クリエイターのキッチンを訪ねた。ローカルのキッチンを訪ねることで、僕らは本物の台湾の味がどうやって生まれるのかを知りたかったからだ。男性に焦点を当てたのも、きっと女性よりも男性の料理のほうがシンプルで、より基本的な台湾料理にふれられるだろうと思ったから。今号には彼らが調理してくれた料理のレシピも掲載している。どれもとても簡単で家庭でもつくられる料理ばかり。特集を読んだら、ぜひ台湾料理をつくって味わってみてほしい。Hoja!
Soundtrack
TAIWAN
PAPERSKY Soundtrack For Travelers
旅する音楽 台湾編
これから旅に出る人たちのために選んだ、架空の旅の音楽。私たちも何度も訪れている台湾には、伝統的な曲から現代のクラシカルな楽曲まで、数多くの素晴らしいアーティストがいます。原住民アミ族の老人歌唱グループを率いた郭英男による名曲”老人飲酒歌”から、その志を現代に受け継ぐSumingによる同曲のカヴァー”歡樂飲酒歌”まで、台湾特有の郷愁漂う歌声とハーモニーをお楽しみください。
Selected by:
GOOD NEIGHBORS’ MUSIC VENDER
坂口修一郎 (BAGN Inc. / Double Famous)
鳩貝建二 (BAGN Inc.)
- 老人飲酒歌 (Original Recording Version) / 郭英男和馬蘭吟唱隊
- 我們的約定 / Suming
- 休息 / 以莉∙高露
- 跳舞吧! / 王榆鈞與時間樂隊
- HOW LUCKY WE ARE / 光引擎
- 大稻埕 / 李欣芸
- LONG ROAD / 鄭宜農
- DROWNING IN THE FOG OF YOURS / Cicada
- KUYI’S LOVE / Windmusic
- 歡樂飲酒歌 / Suming