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Local Photographers
写真家たちが見つめる地域と暮らし

良知慎也

(静岡県 静岡市)

 

04/14/2023

― お住まいの地域について教えてください。

静岡市の山間に住んでいます。時間の流れが緩やかで、春になると数百メートル続く目の前の桜並木が綺麗な場所です。静岡は基本的に車社会なので、暮らす場所は特にこだわりなく選んでいます。山に住むのは初めてでしたが、高速道路も近くにあり遠くに行くにも便利なので、割と気に入っています。

― 生まれ育ったのは焼津と伺いました。焼津はどのような町ですか?

実家は道を一本挟んで、海のすぐ目の前でした。焼津は30分も車で走れば、山にも行けるような山と海に挟まれた町です。小さい頃は当然のようでしたが、漁師の知り合いがいたからか、しらすや桜エビが常に冷蔵庫にあった印象があります。「さかなのまち」として実感したのは、大人になってからかもしれませんね。海の近くで育ったからか今でも海に行くと元気をもらえるような気がします。最近では、甥の少年野球の練習に行くようになり焼津に行くことが増えて、当時野球少年だったのも合間ってか、改めて地元を強く感じることが多くなった気がします。

ー 日々の暮らしの中で、静岡のどんなところに魅力を感じていますか?

やっぱり山と海が身近に感じる距離感にあることじゃないですかね。平たく言うと自然豊かなんでしょうけど、この距離感は結構絶妙だと感じていて、ほんとにゆるっと手が届くような距離に山と海が位置してるんですよね。デジタルまっしぐらな世の中なので「すぐ行ける」という距離には、知らないうちに助けられているような気がしています。最近は展示会で漂流物を使った作品を制作することもあるので、そういった観点からも海の近くというのは有難く感じています。

―普段の「仕事」と「暮らし」について教えてください。

仕事は物撮りや建築写真などが多いです。仕事と暮らしの境目はさほど無いような感じがします。部屋での編集作業が多いので、部屋は自分にとって心地の良い視界を保てるようにしていて、好きなものを見ながらぼーっとする時間が好きです。写真も空間も、バランス感覚を大事にしていて、自分以外の何かと共存しながら保っていく、保とうとするやりとりの中で、発見しながら気づいていく瞬間が好きです。年に1, 2回ほど展示をやるのですが、写真展というよりは写真付きの空間を提示するような感じで、あらゆるバランス感を閉じ込めてまるっと運んでいます。仕事も暮らしも相互に良い関係性を持てたら良いなと思っています。

プロダクト撮影(Playing table) | studioBOWL 
(左)彫刻撮影 | Kanto Iwamura 、(右)DM撮影 | analog / tool
Exhibition | sisei at HAITSU 
家にいる時に大半の時間を過ごす作業スペース

―プライベートではどのような写真を撮られていますか?

「何もしないこと」を心がけて撮っています。ただそこにあるもの、ただそこにある物事を、ただそこにいる自分が出来るだけそのままのカタチで納めること。それが一番自然な形というか、何かしようとすればするほど違和感が生まれるので。(ただ、そのためにめちゃくちゃなにかしてるという裏付けはありますが)この意識になってから圧倒的に写真を撮る頻度も枚数も減ってしまったのですが、それはそれで良いのかなと思っています。縛りをつけて作品撮りみたいなこともたまにしたりしますが、あくまでトレーニングというか逆のことも適度にやることでバランスをとりたくなるのかもしれません。この先続けていくためにも、写真との距離感は相変わらず大事にしていきたいですね。

―日々の暮らしや地域において、興味があること、今後やってみたいことはありますか?

コミュニケーションの一環として写真を続けていくことと、アトリエ兼スタジオ住居のクリエイト出来る場所が欲しいなぁとは思っています。地域の面白さは人の面白さに比例するものだと思うので、まずは自分が面白がられる人間でありたいとは20代の頃から変わらず思っています。そんな人たちが呼応し合って、良い刺激を与え合えたらそれはとても豊かなことだと思います。



良知慎也   Shinya Rachi
1986年静岡生まれ。「バランスを保とうとしている、保たれている」ことに焦点をあて、その様子を収集している。2009年頃から写真を撮り始め、以来ただただ撮り続け波に乗れそうで乗れず今に至る。
www.rachishinya.com