Connect
with Us
Thank you!

PAPERSKYの最新のストーリーやプロダクト、イベントの情報をダイジェストでお届けします。
ニュースレターの登録はこちらから!

Local Photographers
写真家たちが見つめる地域と暮らし

中村ヨウイチ
(静岡県 浜松市)

 

11/07/2022

― お住まいの浜松について教えてください。

浜松市は静岡県の西部に位置しています。東側には天竜川が流れ、西側には浜名湖、南側には砂丘と遠州灘、そして北側には赤石山脈が連なっています。また、日照時間が長く、一年を通して温暖で雪が積もることがありません。でも、四方をこれだけの自然に囲まれ過ごしやすい土地にもかかわらず、僕は10代、20代の頃は、自分が住んでいる土地にほとんど無関心でした。今となってはその自然が育んださまざまな恩恵を受けている土地に生活できているんだと実感しています。

― 生まれ育ったのはどのようなところですか?

僕が生まれ育ったのは、浜松駅から北に車で30〜40分のところの三方原(みかたはら)という地域です。かつて武田信玄と徳川家康の両軍が戦い(三方ヶ原の戦い)、徳川軍が敗れた場所としても知られているところです。周囲には農地が広がっていて、特に三方原馬鈴薯と呼ばれるじゃがいもの産地としても知られています。当時の住まいのすぐ隣が小学校だったので、遊び場は自然と小学校のグランドだったり、同級生の家は農家が多かったので、畑や田んぼも遊び場の一つでした。勉強せず遊んで育った子供時代でした(笑)。

― 日々の暮らしの中で、浜松のどんなところに魅力を感じていますか?

さまざまな自然が身近にあることの豊かさでしょうか。子供の頃は、週末になると父親によく連れられて海や川など自然の中へ出掛けていました。当時は父親のあとを付いていくという意識でしたが、嫌々ということでもありませんでした。その頃の名残りなのか、30代の後半になると、湧き出すように急に自然のあるところに足が向くようになりました。特に、浜松の山間部へ出掛けることが多いです。自然もそうですが、自然と共に生きてきた人たちの知恵や生活、そういった人の営みに魅力を感じます。例えば、どこに住まいをかまえるのか、どこに道を通すのか。浜松に限ったことではないと思いますが。

― 写真家としての活動はどのようにスタートされたのですか?

浜松の街中にある蕎麦屋さん「手打ち蕎麦naru」で写真展を開催したことが写真に携わる活動をスタートしたきっかけでした。2010年なので12年前です。趣味で写真を撮り、それをブログで公開していたところ、蕎麦屋の店主のゴリさん(石田貴齢さん)に声を掛けていただき、自分の展覧会を開くことになりました。展覧会では直接批評をいただくことがとても刺激的でしたし、それがきっかけとなりお仕事を依頼してくれる方もいました。組織とは異なる仕事の形で、直かに反響を感じられる心地良さがありました。


― 普段はどのような(写真の)お仕事をされていますか?

普段は主にファミリーポートレイトを撮ることが多いです。広告写真として、住宅、人物、商品などを撮影することもあります。そのほか知人の写真館のお手伝いで、こども園や小中学校の記録撮影に携わることもあります。

2011年から年に一回、「秋の写真館」という企画を開催しています。約2週間の期間限定の写真館です。2010年の写真展の翌年から展示と併設する形で写真館を始めました。2015年から写真展は一旦休止していますが、写真館企画はそこから独立して、いまも継続して開催しています。写真館の利用者さんは主に小さいお子さんがいるご家族が多いのですが、記録が毎年積み重なっていく感覚があり、利用者さんたちからは思いのこもった感想をいただきます。その思いも寄らぬ反応に、この写真館企画が皆さんの役に立っていることを実感するようになりました。もう無責任に止められないなと思っています(笑)。今年からは新たに「春の写真館」を加えて、年2回(4月、11月)で続けていく予定です。

― ライフワーク的に撮られている写真もありますか?

また、浜松市山間部(天竜区)にはよく行っていて、撮影しながら歩いています。主に集落と集落を繋ぐかつての生活道や街道を歩くことが多いです。また、山間部の寺社の神事、伝統芸能にも興味があり、神事に参加したり記録撮影したりしています。山間部を歩くようになったきっかけは、2016年に友人のオーストラリア人と浜松の街中から浜松最北エリアまで歩いたことが大きいです。刻々と山間部の集落や文化が消滅していることを知り、その速度は思っている以上に早い。当初はこの消滅をなんとか食い止められないのかと考えたりしていましたが、やはり一筋縄ではないということに気づき、せめてそこに人の営みがあったことくらいは記しておきたいと思うようになり、勝手ですが、撮影しながら歩き続けています。

― 興味があること、今後やってみたいことはありますか?

漠然とですが、浜松が育んできた自然や文化の継ぎ役になれたらいいなと思っています。形はいろいろとあると思いますが、ぱっとイメージできるのはガイドでしょうか。まだまだ未熟な知識と経験ですが、写真と一緒に後世に継ぐガイドがいつかできたらと思っています。



中村ヨウイチ Yoichi Nakamura
1977年 静岡県浜松市生まれ。2010年から写真に携わる活動を始める。主にファミリーポートレイトを撮影。2016年からは浜松市山間部の自然や文化に興味を持ち、記録撮影しながら歩き続けている。
春と秋の写真館 (Instagram)