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LIFE IS KEEN
Vol.06

ヒルダ・チャン
(キーン・ジャパン合同会社リージョナルマネージングディレクター・日本法人代表)

Togetherness, Originality, Doing Good. この3つをモットーとするLIFE IS KEEN。自分のため、みんなのため、そして、私たちが踏みしめる、この地球のために。1歩。たった1歩だけでも、きのうより外に踏み出すことができれば、毎日は変えられる。世界にポジティブな変化をつくり出すことをテーマに、様々な分野で活動する方々のストーリーに迫る。

12/20/2023

【Togetherness】
主義や価値観の違いなんてあたりまえ。
だからこそ、そんな違いを尊重しあうことができれば、
きっと、ひとつになれるはず。 みんな、いっしょに、前を向いていこう。

【Originality】
だれもがありのままに、自分らしく生きることができれば、
もっと、世界はおもしろい。
さぁ、自分らしさを研ぎ澄ませよう。

【Doing Good】
わたしたち、ひとりひとりにできることは小さい。
だけど、みんなができることを積み重ねれば、
大きな課題だって、かならず解決できる。
地球のため、仲間のため、そして、なにより自分のために。



2022年10月に、アウトドア・フットウェアブランド<KEEN>を展開するキーン・ジャパン合同会社のリージョナルマネージングディレクター・日本法人代表に就任したヒルダ・チャンさん。初めて会った時の印象から、物腰が柔らかく、気さくな人柄で人を惹きつける彼女は、KEENの可能性を広げるべく新たなステージへと歩みを始めている。KEENがサポートする「アートパラ深川おしゃべりな芸術祭(以下、アートパラ深川)」の展示を巡りながら、なぜKEENに参画し、どんな未来を描いているのか話を聞いた。

食品から繊維、アパレル、シューズと様々な業界においてマーケティングやマネジメントの経験を持つ彼女のKEENとの歩みは、前任者である竹田尚志氏から声を掛けられたことから始まった。

「お声がけいただいた時は中国で仕事をしていました。とても光栄でしたが、即決はできませんでした。ですが、KEENについて調べていく中で、価値観というものをすごく大切にしている会社だと感じました」

撮影場所にもなった芭蕉庵史跡展望庭園や隅田川テラスはアートパラ深川の展示場所の一つ

シューズづくりにおける環境負荷低減だけでなく、社会や地球環境にポジティブな変化をもたらすための活動を積極的に行うKEEN。そのあり方に触れ、ヒルダさんは新代表就任を決意した。また、その決意には、自身のとりまく環境の変化も要因になっていたそうだ。

「2018年に第一子を出産して母親になりました。それからは、今後この世界はどうなっていくのだろう、ということに意識が向くようになりました。子どもが生きる30~40年後の世の中のことを考える中で、KEENの社会に対する取り組みにとても共感しました」

アートパラ深川では、障がいのあるアーティストの作品が街中に展示され、歩きながら作品を巡ることができる(2023年会期は終了しています)

ちょうど入社した時期に「Togetherness」「Originality」「Doing Good」の3つをモットーとする<LIFE IS KEEN>というキャンペーンを2023年に実施することが社内で発表され、KEENの価値観がより明確になっていく過程に身を投じていくこととなる。

「LIFE IS KEENを通じて伝えたいこと。それは、一歩踏み出すことによる『ポジティブな変化』です。

KEENが創業した翌年2004年にスマトラ沖地震が発生し、広告予算の全額100万ドル(当時レートで約1億円)を災害支援に充てました。2013年のサマール島の台風被害時には3万足のシューズを被災者に提供し、COVID-19が蔓延して世界中でマスク不足が起きた時は、シューズ製造工場をマスク製造工場にしてマスクを製造しました。

アウトドアライフのために生まれたKEENは、自分たちが暮らし、遊び、働く場所、つまり地球環境を守る責任がありますし、一方で登山や、音楽フェスなどを通じて一緒にソトを楽しむことも忘れていません。私たちは靴屋ですが、ただ靴を作るだけの存在ではなく、『いま私たちができること』を一歩一歩重ねて、みなさんと一緒にポジティブな歩みを続けています」

歩みを続けるKEENの活動のベースとなるのが、LIFE IS KEENの3つのモットー「Togetherness」「Originality」「Doing Good」だ。

「LIFE IS KEENには人それぞれのストーリーや解釈があります。だからこそ、多種多様な方々のストーリーを伝えたいと思いました。人々のストーリーを知ることでインスピレーションを受けることや、自分自身も一歩外に踏み出してみようと意識してみるきっかけになればと。一歩踏み出した先に、例えば環境保護や社会問題に対する取り組みを意識したり、自分の才能に気がついたりすることにも繋がるはずと考えています」

そうした価値観をベースにしながら、これまで培ってきたマーケティングなどのスキルを活かし、日本とアジア圏でのKEENのフットウエアの普及と社会活動の規模を広めるべく奔走している。

「日本では音楽フェスやアウトドアアクティビティ、そしてタウンユースまで、幅広いシチュエーションで履いていただいていて、みなさんの生活の一部になっていると感じます。アジア圏では、ライフスタイルに定着するためのポテンシャルはまだまだあるので、そこを強化していきたいですね。コロナ禍を経て、外に出かける方も増えてきているので、KEENを知ってもらうことができるポテンシャルは高いのかなと思っています。タイではKEENの認知度は広がってきていますし、今年の12月には上海にKEENの新店舗をオープン予定です。また、日本では積極的に行っている様々なブランドとのコラボについても、中国や東南アジアでも力を入れていき、各ローカルに根付いたコラボを増やしていければいいなと思っています」

アートパラ深川に参加したアーティストとのコラボレーションアイテム。売上の一部はアーティスト活動支援のため、各アーティストに還元される

そんなKEENは、障がいのあるアーティストのアートマーケットを創造することを目的に開催されるイベント「アートパラ深川」のサポートを行っており、今回が2回目の参加となる。KEENスタッフはイベントの準備にもボランティアで参加している。

「このイベントに参加することで、『Togetherness』違いを認めてひとつになるということ、また地元のみなさんとも一緒になって、普段忘れがちな社会問題の認識を持ってもらいたいという狙いがあります。そして、アートパラ深川に参加しているアーティストたちにお会いすると、本当にみなさん才能に満ち溢れているんです。障がいは、その人にしか持ち得ない個性で、我々が掲げる『Originality』自分らしく生きるということを体現されている方々で、そんなアーティストたちの作品をもっと知っていただき、誰もが個性を輝かせることができるような社会にという思いもあります」

昨年の全国公募展入賞アーティストの作品が展示された深川不動堂内ロータスホール
ヒルダさんが真剣に眺めているのは昨年の「キーン・ジャパン合同会社賞」を受賞した「hell男」さんが今回新たに出品した作品
”Solve by walking”がキャッチコピーのウォーキングシューズ。「歩くこと」 で、歩く以上のチカラを生み出すことが、きっとできる。 「WK400

最後に自身とKEENの未来についてこう話す。

「これは私の野望なのですが、年齢問わず『KEENが大好き!』となるといいな、と思っているんです。3世代に渡って、同じブランドの靴を履けるってなかなかないことだと思いますし、年齢や性別を問わず履いていただけるブランドとして、さらにアジア圏でも広めていきたいですね。

ブランドの未来としては、この会社が行っている活動を見たり感じたりすることが、いろんな方のインスピレーション源になって、そこからさらに各々が新たな一歩を踏み出すきっかけをつくり出せたら、私たちがやっていることも実を結ぶのかなと思います」。小さくとも、みんなができることを積み重ねるその先には、我々が住み良い未来が待っていると話すヒルダ・チャンさん。これからも彼女と、彼女が率いるKEENは「Togetherness」「Originality」「Doing Good」からなるLIFE IS KEENをもとに、世界にポジティブな変化を生み出すべく歩みを続ける。明るい未来を迎えるために、今日も自分らしく、もう一歩外に。



ヒルダ・チャン Hilda Chan
香港生まれ、カナダ育ち。中国語、英語、日本語を話す。カナダの大学卒業後は日本や中国の大手企業にて、マーケティングやマネジメント業を中心に実績を積む。直近ではアシックスの大中華圏マネージングディレクターとして活動。2022年10月から、キーン・ジャパン合同会社のリージョナルマネージングディレクター・日本法人代表に就任。

KEEN
2003年の創業以来、製品をつくる時も、地球環境や人々との関わりを考える時も、常に正しいやり方を選ぶことをミッションのひとつとし、シューズをつくるだけではなく、社会をよりよくしていくための様々な取り組みを行う。