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パッチワークキルト・アーティスト

赤尾木織音

京都府北部の閑静なエリアに佇むアトリエに、私たちを案内してくれた赤尾木織音さんにキルトアートについて話を伺った。

04/28/2023

2013年に大量の布地を入手したことがきっかけで、木織音さんはキルトアートの制作を始めた。「最初は、色合いのコントラストを効かせた小さなパッチワークキルトから始めました。ミシンを使ったキルトもこの時期から制作しています。最近は、自分の思うがままにパターンや幾何学的な模様を作ったり、伝統的なキルトの柄も参考にしています」と木織音さん。

スタジオを見渡してみると、秩序とカオス、活力と繊細さ、管理と自由の感覚を感じる。このような相反するセンスは木織音さんのパッチワークにも見られるし、彼女が影響を受けてきたものも反映されているように思える。

「私は、ヒルマ・アフ・クリントの作品の色彩が好きです。特に抽象絵画シリーズ”The Ten Largest”が好み。テキスタイルアートに関して言えば、バウハウス出身のテキスタイルアーティスト、グンタ・シュテルツエルの作品をリスペクトしています。コンセプト的には、ロシア構成主義やその時期のファッションデザインにも惹かれます」と木織音さんは続ける。

ー 京都の生活があなたの作品にどのような影響をもたらしていますか?

京都にいると、京都精華大学の伝統産業イノベーションセンターの研究コーディネーターの仕事を通じて、伝統産業についてたくさん学ぶ機会があります。仕事で見聞きしたことは、確実に私の糧になっていると思います。

私が住んでいるのはとても静かなエリアです。バルコニーから山々が望めるし、登山口までは歩いてすぐの距離。周りがとても静かなので、仕事に集中できます。近くに山や川があって、同時に都市に暮らしている利点も享受できる理想的な環境です。

京都では複数の布地業者から、布地を入手できます。また、デッドストックのシャツ地も兵庫県で入手して使用しています。これは京都に来て新たな出会いでした。私は、先染めのコットンも使いますし、アメリカ製の後染め生地も使います。最近は、古着のシャツや衣類を解体して、パッチワークにすることも楽しんでいます。

Lap Quilt, Color Moments, clinic, Tokyo, 2021
Photography: Go Tanabe 

ー これまでご自分が得られたアドバイスの中で、最良のものは何でしょうか?また、そのアドバイスを受けて、あなたのクリエイティビティーはどのように変化しましたか?

想定内のリスクを取るようにと言われたことがあります。私にとって、これはありがたいアドバイスでした。と言うのは、私は先ず自分の仕事の骨組みをよく理解して、その文脈の中で実験をしなければいけないからです。プロセスを見失ったり、立ち戻ることを忘れがちな仕事ですが、私は長い歴史があるがゆえに、予定調和的になりがちなパッチワーク・キルトにピリッとしたスパイスのようなものを付け足したいといつも思っているのです。

Installation view, Kione’s Handmade Summer, Hatoba Coffee Stand, Tokyo, 2020
Photography: Go Tanabe 

Website https://www.kionek.com/
Instagram: https://www.instagram.com/kionek/