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Kochi Interview 01

一二の用品店・一二の食堂
高橋康太・京子

暮らしもアウトドアもボーダレスに。
高知発、「一二の用品店」による心地良い提案

 

09/16/2021

自然のなかでも、街のなかでも。一年12ヶ月、生活に寄り添う衣服を。「一二(じゅうに)の用品店」は、そんな思いを掲げて2017年に誕生した高知発の小さなメーカーだ。手掛けるのは、高知出身の高橋康太さん・京子さん夫妻。大学生の時に本格的に登山を始めたという康太さんは、卒業後、山を求めて長野県へ移住。そこで木工技術を学んだ後、高知へ帰郷し、家具職人として働いた後に「一二の用品店」をオープンした。

「ハイキングウェアってスポーツウェアしかなくて、選択肢がないのが嫌だったんです。妻がもともと洋裁をしていたので、やってみようというのが始まり。最初は本当に素人が独学でやっているような感じで、作っちゃ直しの繰り返し。改良を重ねて、完成形ができました」

ネットショップに掲載すると、即完売になってしまうという看板商品が、「モンペズボン」だ。かつて日本で広く普及していた労働着であるもんぺ。その良いところはそのまま活かし、さらに現代の生活に合った形に改良。腹巻きのようなシャーリング加工が利いたウエスト部分のおかげで、どんな体型にも心地良くフィット。前後ろもなく、老若男女がそのひとらしいスタイルで穿きこなせるとあって、アウトドア界隈のみならず、幅広く注目を集めている。ハイキングにもカジュアルな街着にも使える、まさに現代版もんぺなのだ。

2020年12月には、高知県香美市土佐山田町に、京子さんが手掛ける「一二の食堂」を併設した実店舗をオープン。道路に面した1階がお店、庭から繋がる2階が住居兼工房というちょっと不思議な造りの一軒家で、愛犬の九丸とともにワークライフミックスな暮らしを楽しんでいる。

「僕自身、最初は登山から始まったアウトドアですが、年々、自分のなかで“アウトドアアクティビティ”っていう感じじゃなくなってきてるんですよね。登山も釣りもすべて日常の一部であって特別なものではない。逆に、外へ出て行くことが特別、というような生活はしたくなくて。高知は、山も海も近いし、恵まれたフィールドなので、自然のなかで過ごすことが日常生活の一部になるひとが増えていったらいいし、そういうライフスタイルに寄りそう道具を提案していきたい。お店を起点にそういうコミュニティができていったら、と考えているんです」

実は、この原稿を書いている筆者がまさに今履いているのも「モンペズボン」。日差しが穏やかな今日の午後は、パソコンから離れて家庭菜園の土いじりに勤しむ予定だ。もちろん、格好はこのままで。ボーダレスな日常は、かくも楽しい。

一二の用品店
人もシチュエーションも選ばない、ユニセックス1サイズの日常着を提案。
PAPERSKY no.64 | MODERN NOMAD
火を囲み、釣った魚と地元の食材で調理しながら、心と身体と魂を開放する高知の旅へ。旅のゲストは旅する料理人の三上奈緒さんと、釣り師の BUN ちゃんこと石川文菜さん。