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Japanese Local Cuisine

朴葉寿司(岐阜県)

minokamo

料理家・写真家のminokamoさんが、日本各地で出会った郷土料理を、レシピと共にご紹介。それぞれの地域で大切に受け継がれてきた料理には、土地の風土や暮らしの知恵が詰まっています。この先もずっと残していきたい “ニッポンのお母さんの味” を、ぜひお試しください。美味しく、楽しい時間となりますように。

07/28/2021

材料(20個分)

お米 … 4合
お水 … 750cc

A(混ぜておく)
 酢 … 80cc
 砂糖 … 大さじ2
 塩 … 小さじ1と1/3

塩鮭 … 4枚~5枚
酢 … 大さじ3 
砂糖 … 小さじ1

お好みの佃煮 … 各100g 程
紅生姜 … 100g 程

※今回は、あさりと山椒の佃煮、椎茸の佃煮、酢漬け生姜、赤蕪漬を使用。



作り方

1. お米を炊く(あとから酢を入れるため、通常より少ない水)炊いている間に、塩鮭を焼き、身をほぐして熱いうちに酢と砂糖を混ぜておく。
ご飯が炊けたら、しゃもじでさっくり混ぜ、寿司桶かバットにうつし、熱いうちに A の甘酢を入れ、しゃもじで切るように混ぜておく。

2. 清潔にしたテーブルに、濃い緑の表を上にして朴葉を並べる。朴葉の下半分に、ごはんを平らにおき(ゴルフボールくらいの量)、その上に具材をのせる。

3. ご飯を包むように葉を半分におり、箱などに重ねて入れ、重しを置いて1時間ほど(略しても良い)おいたら出来上がり。

葉がないときは、錦糸卵などをのせて、ちらし寿司としてお楽しみくださいね。 

初夏になり朴葉寿司を見かけると、今年もこの季節がきたなと心踊る岐阜の風物料理です。手のひらの二倍はある朴の木の葉で包んだお寿司で、葉に抗菌作用があり、手で食べやすいため山作業や農作業で重宝されてきました。親戚のおばさんも毎年作ってくれていた思い出の味で、お店でも販売されていたり、各家庭でも作られています。親戚の集いや、都会に住む孫に送るからと、お米1升(約1500g)炊いて、一度に50個〜100個作ることも通常。朴葉を大きなテーブルに並べ、酢飯、具材を手際よく並べて作ります。卓上に鮮やかな朴葉寿司が並ぶ景色は圧巻、美しいものです。

とあるお母さんに酢飯の分量をお尋ねしたところ「お米1升に、酢200cc、砂糖180g、塩大さじ1で作るんやよ」と、メモを見ないで答えてくれるところが、さすが長年作られているだけあります。具はその家によりまちまちで、焼き塩鮭か、甘酢漬けの鯖、あさりや蕗を甘く煮た佃煮、しその実、紅生姜など。近年では錦糸卵も入れて、色鮮やかに仕上げることもあります。

このお寿司のように、日本には、柿の葉、笹の葉、茗荷の葉など、葉で包んだ飯、おやつがあります。葉で包んでいるから最後は土に帰るのが良いし、なんといっても葉で包んだ食べ物は美味しそうなのも魅力的です。


minokamo | 料理家、写真家
岐阜県出身。子供の頃、祖母と楽しく作った料理の思い出が料理活動のきっかけ。「ひと皿」の中にも、風土・歴史・暮らしが詰まっている各土地の料理を取材、執筆、アレンジなどしている。minokamoが各地の家庭訪ね料理をまとめた「料理旅から、ただいま」(風土社)発刊中。