Connect
with Us
Thank you!

PAPERSKYの最新のストーリーやプロダクト、イベントの情報をダイジェストでお届けします。
ニュースレターの登録はこちらから!

Japanese Local Cuisine

納豆汁(山形県)

minokamo

料理家・写真家のminokamoさんが、日本各地で出会った郷土料理を、レシピと共にご紹介。それぞれの地域で大切に受け継がれてきた料理には、土地の風土や暮らしの知恵が詰まっています。この先もずっと残していきたい “ニッポンのお母さんの味” を、ぜひお試しください。美味しく、楽しい時間となりますように。

12/22/2023

材料(お椀4杯分)

粒納豆 … 100g 
木綿豆腐 … 1/2丁
えのき … 1袋(100g) 
ねぎ … 1/2本
みそ … 大さじ3
日本酒 … 大さじ3
だし汁 … 600cc 

※だしは、椎茸、鰹節、昆布などでもよい。今回は鰹ぶし3gで出汁をとりました。
※本来は、必ず芋がら(里芋の茎を干したもの)もいれ、あとはその時ある山菜(塩漬や干したもの)や、きのこ類をいれます。



作り方

1. 粒納豆はすり鉢にいれてする。途中、日本酒をいれ、粒がなくなるまですったら、だしを大さじ3ほどいれ、生地をゆるくしておく。

2. えのきは根元を除き、長さ3cm、豆腐は3cm角、ねぎは斜め薄切りにする。

3. 鍋に出汁、豆腐、味噌をいれ、溶いたら火をつける。沸々してきたら、えのきをいれて、再度沸々したら(1)の納豆とねぎをいれ、沸騰手前で火を止めたら出来上がり。 沸騰直前に納豆をいれ、納豆の風味を残すのもコツです。

山形県鶴岡市へ冬に伺ったとき、納豆をすり鉢で丁寧にすった納豆汁をご用意いただきました。納豆の風味が美味しく、とろみで体が温まったこと!納豆汁は年の瀬から年始の寒い時期に食べ、庄内地域では12月9日「大黒様のお歳夜」の日にも作ります。これは、神様の年越しを祝う日で、一年の感謝と豊作と子孫繁栄を願います。地域によっては、まめまめしくの意味でお正月や、七草粥の代わりに食べる行事食でもあります。

「納豆と味噌の合わさった香りが台所中に充満すると、あっ、今日は納豆汁なんだな」と感じるほど、冬の定番料理。納豆は、冬の大切なたんぱく質でもありました。納豆をすり鉢ですりながら、粒がなくなるまでするのは大変なのではと思いましたが、すってるうちにとろとろになります。 本来の納豆汁は「からどり」という里芋の茎を干した芋がらをいれます。からどりは、歯応えを活かすため煮すぎないのもコツ。今回は、からどりの代わりにえのきで食感をだし、手に入りやすい食材でアレンジしました。山形の雪国の暮らしを想像しながら、納豆汁を美味しくいただきましょう。



minokamo | 料理家、写真家
岐阜県出身。子供の頃、祖母と楽しく作った料理の思い出が料理活動のきっかけ。「ひと皿」の中にも、風土・歴史・暮らしが詰まっている各土地の料理を取材、執筆、アレンジなどしている。minokamoが各地の家庭訪ね料理をまとめた「料理旅から、ただいま」(風土社)発刊中。