2025年に訪れた静岡・焼津では、駿河湾の深層水や山あいの湧水、町なかの井戸水でコーヒーを淹れる旅をした本企画。今年、旅の関心は1杯のコーヒーから植物やそれらを育む風土そのものへと広がっていった。
今回向かったのは、雄大な山々と清らかな川が織りなす四国・高知。山から街へ、日々の暮らしへと流れる水とともに歩きながら、草木と風土をたどる旅がはじまった。
旅のスタートは知る人ぞ知る湧水地、「御神水」。鬱木漏れ日の中、絶え間なく流れ落ちる清冽な水をトラベルボトルに満たし、口に含むと、澄み切った味わいに身体の感覚が研ぎ澄まされていく。



山を下り、土佐山田の街を目指すルートは、高知の自然を全身で感じられる極上のクルージング。ゆったりと流れる物部川のエメラルドグリーンと、空の青、山々の緑が美しいコントラストを描く。



靴を脱いで透き通る清流に足を浸すと、冷たい水がライドの熱を奪い去ってくれた。川のせせらぎを聞きながら丸い川石の上にコーヒーセットを広げるひとときは、まさにスロートラベルの醍醐味だ。


ライドの終着地である土佐山田では、地域の文化を再構築するインディペンデントな店を巡る。異国情緒ある赤い窓枠が印象的な「DADA NUTS BUTTER」では、「素材の個性が伝わるように作っているんです」と微笑むスタッフの野村宏栄さんに迎えられ、丁寧な焙煎が光るナッツバターを何種類もテイスティング。


続いて、木枠の扉が心地よい「ROYAL NIBOSHI COFFEE STAND」へ。店主の島崎さんに無理を言い、文旦シロップのシェケラートや水出しコーヒーと炭酸と柚子を合わせた特別な一杯を丁寧に作っていただいた。「漕ぎ疲れた身体にこの柑橘の香りと冷たさがたまらないね」と語り合いながら、地域に根差した個性的な味わいに舌鼓を打つ。




町をあとにし、歴史ある路面電車「とさでん」の詩的な空気に身を委ねて文殊通駅へ。「スズキミート」のベンチで揚げたてのコロッケを頬張った後は、第31番札所「竹林寺」へと続くお遍路道へ足を踏み入れる。



苔むした石畳の古道を進み、小さなお地蔵様に手を合わせながら登りきると、そこには高知の街並みと田園風景が広がる圧巻のパノラマビュー。「自分の足で歩いてたどり着いたからこそ、この景色は格別だね」と風に吹かれながら息を整える。


そして旅の舞台は、NHKの連続テレビ小説『らんまん』で一躍有名となった「日本の植物分類学の父」牧野富太郎博士を称える高知県立牧野植物園へ。


そして迎えるクライマックス。朝一番に源流で汲んだ「御神水」をSAANCIのコーヒーを水出しで丁寧にドリップする。「源流の水で淹れるコーヒーは、こんなにも透き通る味がするんだ」。
立ち上るフルーティな香りと共に一口を味わう。源流の水と大地の恵みが融合し、高知のテロワールを五感で味わい尽くす、美しい旅の締めくくりとなった。






SHOP LIST
DADA NUTS BUTTER
〒782-0032
高知県香美市土佐山田町西本町4丁目1-2-3 2F
088-769-0739
Instagram: @dadanutsbutter
OYOT hair/cyclery
〒782-0031
高知県香美市土佐山田町東本町1丁目2-2 BOX90 1F
088-752-8229
Instagram: @oyot_hair / @oyot_cyclery
ROYAL NIBOSHI COFFEE STAND
〒782-0032
高知県香美市土佐山田町西本町3丁目1-24
Instagram: @royalniboshicoffeestand
高知県立牧野植物園
〒781-8125
高知県高知市五台山4200-6
088-882-2601
Instagram: @makinobotanicalgarden
寿し柳 はりまや橋
〒780-0833
高知県高知市南はりまや町1丁目2-20
088-823-0101
Instagram: @harimaya_sushiryu