2020年2月に那覇の泊(とまり)地区にオープンした「ホテル アンテルーム 那覇」。未来を見据えたまちづくりプロジェクトを展開するUDSが手掛けたホテルだ。「アンテルーム」とは「待合室」の意味。これまで同じ業態は展開してこなかったUDSだが、2011年に開業した「ホテル アンテルーム 京都」の名を受け継いだ今回の「アンテルーム」は、学生寮を改装した京都とは異なり、新築のホテルとして誕生した。
泊地区は、先島諸島を除く、ほぼ全ての沖縄の離島への玄関口である泊港がある。慶良間諸島をはじめ、離島観光の多くがここを発着点に楽しむことができる。港から徒歩約6分の場所に位置する「ホテル アンテルーム 那覇」の魅力のひとつは、言わばごく自然な形で離島へのトリップが「組み込まれている」こと。客室やレストランの窓から船の往来を眺めていると、おのずと離島へのデイトリップに心が惹かれていく。

「ホテル アンテルーム 那覇」が特別な場所であることをまず最初に感じさせてくれるのが、沖縄を代表する建築資材「花ブロック」(風や光を通す穴があいた建築ブロック)の機能も果たしている、彫刻家 名和晃平氏のデザインを起用した外観。花ブロックは、亜熱帯気候ならではの強い風や日差しを和らげる効果があると同時に、プライバシー確保やデザイン性においても昨今注目されており、ここ「ホテル アンテルーム 那覇」では、館内最大のアート作品という側面も持っている。
126室ある全ての部屋からハーバービューが楽しめる。ギャラリーから続く2階の客室は天井が高い、アーティストとコラボレーションをしたギャラリールームとなっており、中でもコンセプトルームは壁面やカーテンにまでアートが描かれる斬新な仕上がりだ。とびっきり特別な滞在を演出したい人には館内に2室ある約70㎡の広さのコンセプトスイートがおすすめ。



実際にホテルに滞在してみると、若いカップルやワーケションスタイルのビジネストラベラーが目立つ一方で、昼食をとりに来館する地元の人々も多く見かけた。若いアーティストや、特に地元沖縄で活動するアーティストを主に紹介する「ギャラリー9.5 那覇」や屋上に設けられたイベントスペースなど、「ホテル アンテルーム 那覇」はアートホテルでありながら、それと同時にツーリストと地元の人々が時間と空間、価値観を共有するコミュニティスペースといえる。この枠に捉われない発想こそが、「アンテルーム」の成功の源なのだろう。


コロナウイルス感染予防の影響により、営業時間等に変更がある場合がございます。詳しくは「ホテル アンテルーム 那覇」公式HPをご確認ください。