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Grass on the Plate
大地とつながる草ごはん

vol.7 ハマダイコンのパスタ

雑草を摘んだことはありますか?
食べたことはありますか?
自分に必要な草を自らの目で選び、摘むと、生きる力が湧いてきます。
さあ、自分に必要な草を探しに出かけましょう。

07/07/2023

聞こえない声に、耳をすます

動物たちが草を喰む。彼らは本能で食べられる草がわかるのだ。わたしたち人間も同じ動物。本来はこの感覚をもっていると思いたいが、目の前に生える草が、食べられるか否か、またどんな力があり、どんなふうに使うといいか、まじまじと見てもわからない。草の効能を図鑑で確認するたびにため息。知識を詰め込んでも、ただの知識だ。わたしの野性はいったいどこに? 

2011年の震災で放射能の問題を経験したとき、自然と共存していくには、自然の力を感じる力が大切だと思った。その力が、これからますます必要になる。そう思うといてもたってもいられなくなり、片道5日かけてブラジルのアマゾン奥地に渡った。アマゾンで過ごしたら、自然の声が聞こえるようになるだろう。安易だけどそのときは真剣にそう思い、ジャングルのメディスンウーマンに会うと、自然の声をどうしたら聞けるようになるか尋ねた。すると囁くような声で彼女はこう言った。

「あなたがこころを開くだけよ」

十字の花は、ミツバチたちの大切な蜜源

その言葉の意味もわからず、こころのなかに置き去りにしていた悲しみや怒り、寂しさととことん向き合い、癒す日々をジャングルで過ごした。その経験から十数年のときを経て、今はメディスンウーマンの言葉の意味がよくわかる。こころに過去の感情を溜めていると、疑いや不安が生まれて、ありのままに受け取れなくなるのだ。植物の細やかで優しい振動と同じ振動でこころを震わし、共鳴できたとき、聞こえない声は聞こえてくる。

浜辺に自生する植物は、海のにおいを知っている

日頃、時間に追われていたり、先の約束を考えたりしていると、植物の振動から遠ざかってしまうけれど、草を見ると、どんな力があるか、どんなふうに食べたらおいしいか、耳をすますようにしている。

ハマダイコンの根っこは硬いがお茶にいい。葉っぱや蕾は、炒めるとおいしい。聞こえない声が、ひらめきになる。

■Grass on the Plate Recipe 07
ハマダイコンのパスタ


材料

ハマダイコン(葉、花)
パスタ
自然塩
白味噌

オリーブオイル


つくりかた

1.  パスタを茹でる
2. ハマダイコンを適当な大きさに刻み、熱したオリーブオイルで炒める
3. 2.にパスタを加え、塩と少量の水で溶いた白味噌で味を調え、花を散らす。



■Plants Index
今回の草花

十字の花

初夏に30~70cmほど茎を伸ばし4枚の花弁を総状花序につける。花色は薄紫色で、ときに白色のものもあり、可憐な花が群生する風景は美しい。蕾も花もピリ辛。
個性的なサヤ

花後はサヤをつけ、種は成熟するとコルク質のもので囲まれ、海水に浮かび運ばれていく。できたての小さなサヤは柔らかく、味噌汁やサラダに入れると辛みがアクセントに。
ワイルドな葉

越年草で、冬はロゼット状で越冬。畑の大根と味はほぼ変わらず、刻んで塩揉みしてごはんのお供にしてもおいしい。乾燥させた葉を煮出して入浴剤にすると体がホカホカに。
白い根

畑の大根のように大きくならず、枝根やひげ根が多く生える。硬くて辛みが強く、筋っぽいため、食用には不向き。茹でてお茶にするとおいしい。


かわしまようこ
幼少のころから好きな雑草の記憶をもとに、2000年より草にまつわる活動をスタート。国内外を旅しながら学んだ草の知恵を、雑草教室やリトリートで伝授。2022年に雑草プロダクト「REAL PLANTS」をオープンし、浄化力を体感するヨモギソルトを販売中。著書に『ありのまま生きる』(リンカランブックス)『ブータンが教えてくれたこと』(アノニマ・スタジオ)など多数。沖縄県在住。