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Grass on the Plate
大地とつながる草ごはん

vol.6 ヨモギの全草コーディアル

雑草を摘んだことはありますか?
食べたことはありますか?
自分に必要な草を自らの目で選び、摘むと、生きる力が湧いてきます。
さあ、自分に必要な草を探しに出かけましょう。

01/31/2023

土から生まれた力

古くから日本に自生するヨモギは、私たちの体に馴染みやすい植物。万能薬といわれるほど、すばらしい力があります。

注目したいのは、デトックス作用と浄血作用。葉に含まれる食物繊維やミネラルが、便秘の解消を促し、有害な物質を排出するといわれています。血液がきれいになり、さらさらになると、血行が促されます。中医学では「肝・脾腎」を温めるとされ、冷えで悩む方の体質改善に役立てられてきました。また、緑色の葉は、造血作用を促すクロロフィルを多く含んでいます。健康の土台である血液によい作用をもたらすヨモギは、私たちの救世主です。

冬至に向けて光が静かになるとともに、植物の力も静かに

女性ホルモンに働きかけ、PMSや更年期障害を緩和し、肌を美しくする作用があることも知られています。香りには脳神経をリラックスさせるシネオールという成分が含まれており、忙しく暮らす、情報過多な現代人には、ありがたい力ばかりです。

野菜のように食べたり、お茶にしたりするだけでなく、染めの原料にもなります。オイルやアルコールに成分を抽出すれば、化粧水、石鹸、マッサージオイルなど、暮らしのマストアイテムをつくることもできます。なんて心強い植物でしょう!

1メートルほど成長して、秋に咲く茶褐色の花。ドライにしても美しい

そんなヨモギを長年見守りながら、ヨモギ特有のさわやかな香りが、年々弱くなっていることが気になっています。近代化した都会に生えるヨモギは、ほとんどにおいがしないものも珍しくありません。本来香りのあるものがなくなるのは、有効成分が失われていることを示しています。いざというときに私たちを助ける力が、自然からなくなったら困ります。そうならないために私たちは、土の力を失わないように、命の循環を大切にした暮らしを心がけたいものです。植物の力をいただいたら、いただいた分だけ、いただいたところに土に返しましょう。

■Grass on the Plate Recipe 06
ヨモギの全草コーディアル


材料

ヨモギ(生) 30g
生姜(スライス) 3枚
シナモンスティック 適量
水 300cc
きび砂糖 50g
シークワーサー(またはレモンなどの柑橘系)


つくりかた

1.  ヨモギの全草(根から丸ごと)を沸騰させた水に入れ、生姜、シナモンスティックを入れて、5分間煮出す。
2. 1を取り出して布で濾し、弱火で温めながらきび砂糖を加え、溶けるまで混ぜる。
3. 2と湯を1:2を目安に薄め、絞った柑橘を加えてさわやかな香りをつける。



■Plants Index
今回の草花

ヨモギ キク科ヨモギ属

古くから日本に自生し、万能薬として親しまれている草。約30種あり、河原や田畑、庭先など、日当たりのよいところに生える。春の若葉を入れた草餅は美味。
ヨモギの葉

すばらしい殺菌力と止血効果のある葉は、傷のお手当に使える。しっかり成長した緑色の濃い葉を揉んで、出た汁を塗るだけ。傷の回復を早める力もある。
ヨモギの毛

葉の裏にびっしり生える柔らかな白い毛は、低温でゆっくり燃える性質があり、艾(もぐさ)になる。梅雨の終わりに収穫した葉を乾燥させて、湿度の低い冬につくる。
ヨモギの根

多年生植物と呼ばれるヨモギは、冬に地上部分が枯れても、根は生きていて、春になると若芽を伸ばす。家の近くに自生ポイントを見つけておくと重宝する。


かわしまようこ
幼少のころから好きだった雑草の記憶をもとに、2000年に草にまつわる活動をスタート。写真や文章だけでなく、旅をしながら現地での草の使い方を学び、食べる、飲む、飾る、お手当てするなど、あらゆる方法で草の魅力を伝える。沖縄在住。著書に『草と暮らす』(誠文堂新光社)『ブータンが教えてくれたこと』(アノニマ・スタジオ)『ありのまま生きる』(リンカランブックス)など。