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EDITOR’S NOTE
No.66 — AMAMI(2022)

耳を澄ます、愛が溢れる、奄美になる

ルーカス B.B.

 

05/20/2022

どれだけよく“聴く”か? それが人の未来を決める。このことは、世界で最も多様でユニーク、美しく神秘的な場所のひとつである、奄美群島の未来にもいえる。まさに今、奄美は未来を左右するターニングポイントにある。すべての人々がよく“聴く”ことをすれば、まちがいなく奄美は天国になるだろう。今号の特集は、奄美とじかにつながる運河のようなもの。ここから奄美への旅は始まっていて、よく“聴く”ことで究極に満たされた感覚を味わう旅になるだろう。

アルファベットで「LISTEN」と書くと、その文字は「SILENT」と重なる。しかし「SILENT」が受動的であるのに対し、「LISTEN」には能動的な姿勢が必要だ。“聴く”とは、あらゆるものを敏感に認識することでもあり、そこには究極の変化をもたらす引き金がある。よく“聴く”とは、自分の内面、マクロからミクロに広がる周囲の環境、音、言葉、身振り、バイブレーションに同調し、これらすべてのスキルを同時に使い、リズミカルに踊るようにして、身近な環境からはるか遠い世界まで、あらゆるところから届く情報をゆるやかに引っぱり出すような行為ともいえる。つまり、“聴く”ことをとおして正しく情報を得るためには、天才的な分析力、知恵や経験、そして超能力的な感覚をも必要とする。

だから、“聴く”ことが得意な人は少ない。ほとんどの人々は、より速く、より注目される会話の世界にいて、“聴く”ことをはなから諦めているのだ。要するに、“聴く”ことは難しい。社会的にも聴き上手であることに価値が置かれていないし、聴き上手になるための努力もしない。

しかし奄美は、よく“聴く”人にとってパラダイスのような場所だ。あなたがダイバーなら、水中でクジラの歌声を耳にするだろうし、サーファーなら風に乗ってやってくるメッセージを聴くだろう。ハイカーなら260種以上の鳥やたくさんのカエルの鳴き声が奏でる、瞑想的で心を癒す歌を聴くだろう。そして、散歩にでも出かければ、三味線の音色が近隣の家の開放された窓やドアから、耳と心を伝って流れてくるだろう。

さあ、聴きにいこう! 耳を傾けて! 考えて! 感じて! そして“聴く”力をとおして、奄美の未来をつくる手伝いをしにいこう!

PAPERSKY no.66 | AMAMI ISLAND|LISTEN
さまざまな音、声に耳を傾け、多様な奄美を感じて巡る旅へ。旅のゲストは、画家で絵本作家のミロコマチコさんと染色家である金井工芸の金井志人さん。