見渡せば八ヶ岳や南アルプスの山々、富士山も近い韮崎の町の一角に、野田沙織の工房はある。東京の美術大学で木工を学んだ野田は、28歳のときに山梨にUターン。自身のプロダクトレーベル「Atelier Bond」を立ち上げた。
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「木工ってかたちになるのに時間がかかるんですが、それが自分に合っていると思いました」。
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木材がプロダクトになるまでのプロセスの多さは想像を超える。理想の大きさ、かたちになるまで、ミリ単位で調整した製材機に何度も通し、時間をかけて接着した後、研磨し、コーティングを施す。体力と集中力を交互に使い続けるような作業を、一人黙々と進めていく。
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野田の作品のひとつに、「八ヶ岳」や「甲斐駒ヶ岳」といった山をモチーフにした小さなヘラがある。持ち手の先に丁寧に彫られた稜線からは山々の雄大さと手仕事ならではの温かみが感じられる。
「登山がきっかけで山が好きになり、10年ぶりに山梨に戻ってきて気がついたんです。なんて素晴らしい景色に囲まれているんだろう、と。自然を身近に感じてもらえるようなものをつくっていきたいです」。
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