星の動きから人生のタームに標準を合わせよ
地球暦の考案者・杉山開知が、そのときどきの、リアルタイムの星の動きを解説。その話からインスピレーションを受け、スウェーデンのピザ屋「Omnipollos hatt」がピザを創作。地球暦×Omnipollos hattのコラボレーションにより、新作メニューが毎回誕生します。
天王星と木星の結び
2024年03月14日
2037年12月09日
2052年02月09日
2066年04月24日
2080年02月13日
2093年07月10日
2106年11月22日
2120年11月22日
2135年05月07日
2149年01月05日
2162年06月25日
太陽系一の変わり者
天王星が発見されたのは比較的最近、1780年のことだ。自転軸がほぼ横倒し、ということは星も付随する環も縦に回転しているという、ひどく奇妙な振る舞いをする星である。それまで観測されていたのは土星までだったから、太陽系はじつはその外にまで広がっていたと判明した、それは世界認知が拡大した瞬間でもあった。
文明が飛躍的に発展した産業革命の時代と重なっていたのと、その特異な存在感とが相まって、天王星は占星術において進歩、改革、テクノロジーといったキャラクター性を与えられている。開知さんによると「既存の枠内になかったものを外から持ち込んでくる、というような意味合い。天王星を、新しい発見の象徴的な存在として捉えているんです」。
また、天王星の英語名“ウーラノス”はギリシャ神にちなんだ名前だが、同時代に新しく発見された元素にもやはり同じ名(ウラン)が命名されているのも興味深い。宇宙というマクロにおける新発見と、元素というミクロにおける新発見が、連動しているのだから。
13年に一度のイノベーション
現在もものすごいスピードで膨張を続けており、太陽系でサイズ、質量ともに最も大きい星が木星である。拡大や膨張、そして天王星と同じく発展というニュアンスの解釈をされることが多い。
そんな木星と天王星が結ぶ(二惑星が太陽から見て同じ方向に来る会合現象)のは、13年ごとだ。
「いわば大きな時計のふたつの針が重なるようなこと。それは二要素のフュージョンによる、新たな始まりのタイミングだともいえます」
天王星のテクノロジー性と、木星の膨張性が融合するところの意味は、「それまで夢のように思われていた技術が社会に実装され基盤となっていく、完全に新しいインフラとなる感覚」。Chat GPTなども、そんなひとつなのかもしれない。
次回の結びは2024年3月14日。地球暦の新年は春分だから、1年の終わりと次の年の始まりの、ちょうどはざまの地点でもある。そこにも何か、意味が見出せそうではないか。
星の動きと人生とを重ね合わせて
天王星の公転周期は84年、木星の公転周期は12年だ。ふたつの惑星周期を重ね合わせてみると、天王星の84年のなかに、木星の12年が7回あるという内訳になる。
さて、これを人の一生に置き換えてみるならば、84年の寿命のなかで、12歳(小学校卒業)、24歳(社会人の仲間入り)、36歳(結婚したり家族が増えたり)、48歳(仕事もベテランの域)、60歳(還暦)、72歳(リタイア、隠居)、84歳(人生仕舞い)と、なんとなく生涯における各ステージが見えてくるのではないだろうか。
時間は人間がつくり出した概念だ。私たちが意識するから、1週間が、1年間が存在する。私たちの寿命と惑星の動きがつながっていると考えるからこそ、その現象が立ち現れてくる。ただそれだけのことに過ぎない。だが、人の生きる時間感覚が星の周期と相似していることは「ひとつの生きる目安にもなります。84年のスケールで物事を考えることはなかなかないかもしれませんが、惑星の動きでそれをイメージできるっていうのが、地球暦の醍醐味でもあるんです」。
A SLICE OF SPACE
サイクル・オブ・ライフ
ギリシャの神にちなんで名づけられた唯一の惑星である天王星のピザには、タイム、ほうれん草、オレガノを加えた、ギリシャ原産のフェタチーズを敷いて。衛星27個のオリーブと、環13本のオニオンリングのトッピングで完成!
杉山開知 Kaichi Sugiyama
1977年、静岡県生まれ。独学で暦を研究、地球暦考案に至る。じつは地球暦誕生のきっかけのひとつは、ピザ屋のアルバイトで時間についての極まりを経験したことにある。