大局を見とおし、決断せよ
地球暦の考案者・杉山開知が、そのときどきの、リアルタイムの星の動きを解説。その話からインスピレーションを受け、スウェーデンのピザ屋「Omnipollos hatt」がピザを創作。地球暦×Omnipollos hattのコラボレーションにより、新作メニューが毎回誕生します。
今後1年の土用
夏 2023年7月20日～8月8日
秋 2023年10月21日～11月8日
冬 2024年1月18日～2月4日
春 2024年4月16日～5月5日
土用とは、次の季節への移行期間
土用＝うなぎ、とパブロフの犬よろしく想起してしまうのは致し方ないとしても、そこで終わるのはあまりにもったいない。国内で発行されているすべてのカレンダーのマスターデータである、国立天文台が毎年発表する暦要項にも、「二十四節気および雑節」の項目に、土用は明記されている。土用はそれほどに暦上、重要な位置づけを占めている。
土用は立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前18度 （18日間）の、季節が移り変わる期間のことを指す。そして春夏秋冬の四季に土用を加えて五季とする考え方も。これは森羅万象を木・火・土・金・水に振り分け、その5つの要素が関係し合ってこの世のバランスが保たれているとする、中国の陰陽五行説に基づいている。春は木、夏は火、秋は金、冬は水に配当。そして季節の変わり目の土用には、もちろん土が割り当てられている。
地球暦で考えてみても、「ひとつの季節は90度、土用は18度。90-18＝72で、土用を抜いた純粋な一季節は72度です。そして1年分の土用を合計すると、18度× 4回＝72度。1年のなかで4回に分かれてはいますけど、土用はやはり、ひとつの季節と捉えることができます」と開知さん。
うなぎでなくてもいいわけで
さて、ここで再びうなぎである。土用の丑の日にうなぎを食すようになったのは、本来は冬が旬のうなぎを夏場でも売れるようにすべく、江戸時代中期に平賀源内が考案した日本初のコピーライティングの影響だという俗説があるが、明確な根拠は見つかってないようだ。いずれにしても、夏バテする体に滋養強壮だとか、丑の日とうなぎの“う”の掛け言葉とか。裏づけがあったりなかったり、単なる言葉遊びだったり、どこかの誰かが、もしかしたら大層な理由もなく、なんとなくノリで始めたことだったかも。だとしても、やがて人々の共通認識になり、文化として育まれていく可能性を秘めているのは、この連載でも何度か指摘したとおり。
土用を制するものは1年を制す？
土用は次の季節への移行期間だけに不安定で、迷いが生じやすい。よって転職や結婚、新居購入など、人生の節目となるような大きな決断や変化も慎むべきとされてきた。でも、本来的に、土用は“土”を“用”いるグラウンディングの期間。地に足をつけ、大地の力を大いに借りるべきだと捉えることもできるのだ。
「サーフィンにたとえると、基本ができていればエクストリームな波を乗りこなすことができるということ。知らないで乗ると波にのまれてしまうことが多く、それなら受け身でいるほうが確かに安全かもしれない。でも、揺れ動く時期だということをきっちり念頭においておけば、逆にその波の力を借りて大きな変化を起こせるかもしれない」
そういう意味では、土用に乗じて何かにトライするのはすごくエキサイティングなこと、と開知さん。「この裏返しを知っているかどうかが、暦を理解していることの強みでもあると思う」とも。やりたいこと、やるべきことがしっかり整理できるまで、腰を据えて忍耐強く待つ。だが、もし準備ができているならば、一心集中して決断するときだ。それは、地球の力を借りるという、究極で強力な他力本願だ。
A SLICE OF SPACE
グラウンディング・エキサイティング
ベースはモッツァレラ、オリーブオイル、塩のみのシンプル＆マイルド。
土用期間はビーツ、ニンジン、唐辛子をターメリックやニンニク、レモンを利かせたオイルで和えて、目覚めるための準備OKな刺激的な味！
杉山開知 Kaichi Sugiyama
1977年、静岡県生まれ。独学で暦を研究、地球暦考案に至る。じつは地球暦誕生のきっかけのひとつは、ピザ屋のアルバイトで時間についての極まりを経験したことにある。
