Connect
with Us
Thank you!

PAPERSKYの最新のストーリーやプロダクト、イベントの情報をダイジェストでお届けします。
ニュースレターの登録はこちらから!

茶懐石 温石

杉山乃互

 

04/27/2023

おいしさを求める試行錯誤は続く

 
「鯵の胡瓜巻きです。どこにでもいる魚ですが、これは本当においしい鯵なんです。やはり焼津にある店ですので、いろんな魚種を楽しんで、この土地の豊かさを感じていただけたら」

そう話す杉山乃互(だいご)さんは焼津の出身で、祖父母が蕎麦屋を営んでいたころからサスエ前田魚店の魚を食べていたそう。高校生のときには、サスエ前田魚店で魚の水洗いの勉強をしていたことも。前田尚毅さんとはそのときに出会っており、東京での修業から地元に戻って再会した。

 「修業をしているときに、いいものは東京に集まるし、やはり東京がいちばんだと言われていたので、地元に戻ってからも、がんばってもどうせ……と思ってしまっていました。でも、前田さんやてんぷら 成生の志村さんがいい仕事をして評価を受けているのを見て、自分が言い訳をしていると気がついて恥ずかしくなりました」

それからの前田さんとのやりとりから生まれたシグネチャーが「金目鯛の鱗焼き」だ。

 「本当にたくさん試行錯誤をしました。料理が完成に近づいてきたときのことです。通常、金目鯛は寝かせたほうがおいしいとされているのですが、ここでしか食べられないものとして、やはり獲れたてがいちばんなのではないかと。そこで同じ部位、大きさでいろんな焼き方で食べ比べをしてみたら、鮮度が良いほうが圧倒的においしく感じて。今度は、それを活かす工夫を夜な夜なしました。今も続いていて、終わりはないというか、もっともっと進化していかなければと思っています」

「鯵の胡瓜巻き」。鯵のおいしさで、その海がいかに恵まれているかを知ることができるという

茶懐石 温石 / Onjaku
焼津市本町6-14-12
TEL:054-626-2587

Text | Daisuke Horie Photography | Hitoshi Ohno