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南蛮連合

東京のパワフルな多国籍ランナーたち

長距離マラソンを走るランナーは、スポーツそのものを楽しむというよりも、自分自身に戦いを挑んでいるようなイメージだ。しかし、東京のランニング・クラブ、南蛮連合の発起人、ボブ・ポールソンは、走ることは個人の自由、健康、そして幸せを追求することなので、コミュニティの形成や社会的なつながりにリンクするものだと考えている。

07/28/2020

南蛮連合は、単なるランナーたちのクラブ活動ではない。国籍、年齢もさまざまな50〜80人のメンバーたちが天候の良し悪しにかかわらず、毎週水曜日の夕方に集まり、渋谷区の織田フィールドで、短時間ながら中身の濃いグループトレーニングを行っている。トレーニングで汗を流した後は、地元の銭湯で一息ついてから、代々木八幡のお店で美味しい食事とお酒を楽しむのがルーティーンだ。

現在、東京の南蛮連合のメンバーは230人で、年齢層は10代半ばから70代後半にわたる。黎明期から参加している個性豊かなメンバーたちも多く、このクラブのきずなの強さを感じさせる。他のランニング・コミュニティーとの交流も活発だ。南蛮連合のイエローとブラックのユニフォームは、日本でも、海外でも声援を受けることが多いとボブは語る。

ボブは、ロング・アイランド出身のほぼ現役を退いたコピーライター。’70年代にアメリカ海軍の一員として来日した。高校時代は陸上競技の走者として活躍しており、その後もスポーツに親しんでいた。30代になった時、ボブは東京で才能溢れるアメリカ人、アイルランド人ランナーたちと知り合ったことで、「走る」ということを真剣に追求し、熱を入れ始めた。

‘80年代後半、ボブたちのグループは駅伝で思いがけずに好成績を収めることができた。特に奥多摩駅伝では、これまで何度も上位5位にランクインし、30数年経った今でも南蛮連合が参加している年度イベントである。

現在、ボブは72歳だが、いまだに45歳のような気分だという。体調は良好で身体は引き締まっている。週に6日間、80km以上走っており、毎週クラブのトレーニングにも熱心に参加している。さらに驚くべきことに、グループでのランニング練習が終了したのち、自らがリーダー役を務めて腕立て伏せ、プランク、スタージャンプなどのエクササイズを指導している。

村上春樹は著書「走ることについて語るときに僕の語ること」で、こう語っている「走りながら、年齢を重ねることができれば僕はハッピーだ」と。およそ60年以上も走り続けているボブにとってこの言葉は深く同意できるものだろう。南蛮連合のメンバーたちもそんな気分を共有しているハッピーオーラに包まれたランニングコミュニティーだ。

text & Illustration | Stuart Taylor