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all streets −shibuya−

小泉 翔
(PLAYNEW代表取締役社長)

フットボールを
渋谷の日常のエンタメに

all streets −shibuya−は、2022年春、渋谷に新たに誕生したホテル「all day place shibuya」が発信するローカルガイドメディア。毎回、渋谷に縁のあるクリエイターをゲストに迎え、お気に入りのスポットを歩いて巡る“渋谷散歩”へと出かけます。大通りから路地裏まで、歩くほどに見えてくるのは、日々移り変わるまちの日常の姿。渋谷の歩き方、楽しみ方は人それぞれ。まだ知らない渋谷を探しに出かけましょう。

08/10/2023

「Football for good 〜ワクワクし続ける渋谷をフットボールで〜」というビジョンを掲げ、Jリーグ参入を目指すクラブチームがあることをご存知ですか? その名も「SHIBUYA CITY FC」。2019年の設立ながら、東京都社会人サッカーリーグの4部から1部まで無敗で駆け上がり、東急やカシオ計算機といった大手企業がオフィシャルパートナーとなっている注目の存在です。

クラブを運営するPLAYNEW代表の小泉翔さんは、「渋谷でなかったらフットボールの事業はやっていなかったでしょう」と言ってはばかりません。なぜ渋谷でフットボールなのか?渋谷と関わって10年の彼に、お馴染みのコースを案内してもらいました。


渋谷で遊ぶ大学生から渋谷で働く経営者へ


「大学3、4年からず〜っと渋谷にいますね。飲むのも、遊ぶのも、そして働くのも」

三軒茶屋と恵比寿のシェアハウスに始まり、渋谷では大手IT企業とベンチャー企業、そして自身が立ち上げたサッカークラブの運営会社。小泉翔さんのこの10年は、東京でもひと際カオスな街とともにありました。

「渋谷って『出る杭は打たれる』という風潮がまったくありませんよね。新しいものがどんどんここから生まれるし、みんなが好きなことをしている。渋谷からJリーグを目指すなんてデカいことを言っていられるのも、この街の自由な雰囲気に背中を押されているのかもしれません」


東京のど真ん中にあるJリーグクラブを目指して


「プロスポーツで唯一、プロ参入の道がアマチュアに開けているのがフットボールなんですよ。社会人野球チームを作ったところで、どれだけがんばってもNPBには基本的に加盟できないでしょう。でもフットボールなら、J1を頂点にしたピラミッドが11カテゴリあり、ひとつずつ勝ち上がることでいつか昇格できるかもしれない。いまはまだJ7相当ですが、可能性があるってだけでワクワクしませんか?」

そう白い歯をこぼす小泉さん自身、前身の「TOKYO CITY FC」では中心プレーヤーでした。2014年に結成し、Jリーグ参入を目指そうと決意した2019年、「SHIBUYA CITY FC」への改称とともに経営者に転身。一見するとスケールダウンのような改称もまた、クラブの解像度を高めるための一手だったと言います。

「パリ、マドリード、ミュンヘン……世界的に有名なクラブって、そもそも街が有名じゃないですか。それなのに東京23区にはJリーグクラブがひとつもありません。文化があり、観光客が来る、デカい街。この掛け合わせが重要なので、現状の空洞はめちゃくちゃもったいないと思っています」


渋谷拠点の企業に挑戦を後押しされて


先進国では特殊という状況を打破すべく、2022年からは元日本代表の戸田和幸さんをテクニカルダイレクター兼コーチに招聘しました。「渋谷区スポーツセンター」で練習し、「明治神宮」で勝利祈願。クラブは渋谷に密着しながら活動の裾野を広げています。

「戸田さんというトップレベルを知る人が加わって、チームのレベルがグッと上がりました。東急や伊藤園、明治安田生命がスポンサーになってくださり、9月からはG-SHOCKのカシオ計算機もクラブパートナーに。めちゃくちゃウマい焼肉店の『永秀』もスポンサーなんです。まだ下層のカテゴリのクラブに、これだけたくさんのスポンサーがついてくださるのも、渋谷にJリーグクラブをというデカい目標に、きっと共感してくださっているからだと思います」


街全体をスタジアムに見立てる都市型フットボールクラブ


「それだけたくさんの人が価値観を共有できるのも、フットボールの醍醐味でしょうね」

小泉さんはそう言葉を続けました。そしてもうひとつ、Jリーグとは別に目標とする街の風景があると言います。

「僕らはサポーターを増やすというより、365日、街のコンテンツにサッカーがある渋谷を目指したいと思っています。『渋谷区立宮下公園 サンドコート』でビーチサッカーをしたり、『TORQUE SPICE & HERB TABLE & COURT』でフットサルをしたり、路上にリフティングのパフォーマーがいたり。街自体をスタジアムに見立て、ファッションや音楽といった他のエンタメと掛け合わせ、あちらこちらにサッカーが根付いている風景が目標ですね。若い世代にサッカー文化をバトンタッチするという意味でも、渋谷はぴったりなホームタウンですから。

オフィスで夜まで働いて『渋谷駅東口歩道橋』に上がると、デカい企業のオフィスがいっそう高く、まぶしく見えるんですよ……フットボールの可能性、街の期待を感じているので、目標に向かって僕らはやれること全部をがんばるだけって感じですね」

1
渋谷区スポーツセンター
渋谷区西原1-40-18
TEL : 03-3468-9051

人工芝のサッカーコートがあり、SHIBUYA CITY FCの練習で利用する。フットサルコートやテニスコート、25mプールなど併設。

2
明治神宮
渋谷区代々木神園町1-1
TEL : 03-3379-5511

渋谷区のクラブのお膝元として勝利祈願にたびたび参拝。無料駐車場があり、多忙な日々の息抜きスポットになっている。

3
永秀 渋谷神泉本店
渋谷区神泉町20-25
TEL : 03-6427-0329

SHIBUYA CITY FCのスポンサーでもある焼肉・ホルモン店。絶妙な厚さと味付けの牛タンが小泉さんのお気に入り。
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4
渋谷区立宮下公園 サンドコート
渋谷区渋谷1-26-5
TEL : 03-6712-5291

ビーチサッカーに利用できる、広さ36×19mの多目的運動施設。サンドスポーツ全般で利用可能。MIYASHITA PARKの屋上公園にある。

5
渋谷駅東口歩道橋
渋谷区渋谷2丁目24 渋谷駅


小泉さんが「年に1000回は歩く」と話す通路。渋谷ストリームや渋谷スクランブルスクエア、首都高を見上げる「渋谷らしい」スポット。

6
TORQUE SPICE & HERB TABLE & COURT
渋谷区渋谷3-21-3
TEL : 03-6451-1374

渋谷ストリーム4階にあるカフェ。スパイスやハーブを活かした料理を味わえ、小泉さんは打ち合わせにも頻繁に利用しているという。
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小泉 翔 Sho Koizumi
1989年生まれ。埼玉県出身。PLAYNEW代表取締役社長。物心がついたころからボールを蹴りはじめ、大宮アルディージャU-18に所属。立教大学在学中のアメリカ交換留学を転機に、世界一周の旅を敢行し、帰国後に「TABIPPO」を設立。卒業後はサイバーエージェントに就職し、TABIPPO法人化とともに取締役に就任。2019年に退任後、自身が設立して改称を経た「SHIBUYA CITY FC」の運営に専念。現在は渋谷区円山町にオフィスを構える。

all streets −shibuya−
一般的なガイドブックにあるきらびやかな渋谷だけでなく、まちの日常により溶け込み、楽しんでもらえるよう、all day place shibuyaが発信するローカルガイドメディア。all streets -shibuya-のコンテンツは、all day place shibuyaのウェブサイトからもご覧いただけます。
text | Yosuke Uchida photography | Kosuke Hamada illustration | STOMACHACHE.