かまぼこは日本の伝統食で、どんな料理とも相性がいい。成形した魚のすり身を蒸して作られるかまぼこは、お酒の肴に、おそばのトッピングやお弁当のおかずに、何より、お正月のおせち料理の定番として、日本人の食卓に欠かせない。また、アスリートにも良質なタンパク質が摂れると人気だ。その昔、江戸時代には、小田原経由で東京と京都を行き来していた大名たちにも重用された。手軽で、保存が利き、栄養価に富んでいることも旅人には好都合だったに違いない。
小田原の前浜である相模湾は、水深が深く、寒流と暖流が複雑に交じり合い、そこに注ぐ酒匂川が運んでくる水は豊富な滋養を含む。「この類まれな自然環境のおかげで、小田原は様々な種類の豊かな魚に恵まれています。」と鈴廣の副社長、鈴木“テッド”悌介さんは語る。獲れた魚は、鮮度を保ちながら、自社工場に運ばれ、国家資格を持つかまぼこ職人たちの技で、鈴廣かまぼこに生まれ変わる。
「魚の骨と皮を除き、魚の身を水の中で洗います。この大事な工程を『水さらし』と呼びます。脂分や血液や酵素を洗い出し、タンパク質を精製した後、余分な水を絞って、天日塩を加えて練っていきます。色白で弾力のある食感のかまぼこは、この『水さらし』の工程が決め手です。」とテッド。森里川海のつながる小田原は、かまぼこ作りに最適なロケーション。鈴廣はこの地でかまぼこを作り続けていることに誇りを持っている。
今後も鈴廣の職人たちは、これまで培ってきたノウハウにさらに磨きをかけながら、最高品質のかまぼこを作り続けることだろう。匠の技が光る、保存料無添加のかまぼこは、紛れもなく小田原を代表する名産品である。