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Brompton × PAPERSKY

秋うらら、Bromptonと長野を走る

Bromptonとともに、日本各地のステキなカフェとローカルの人々を訪ねる旅のシリーズ、【Brompton × PAPERSKY】 Local & CAFE RIDE。第1弾の長野編にまつわるスポットを巡るライドイベントが開催された。2日間にわたって開催されたこのイベントには、計20数名の一般のサイクリストが参加。グループライド用にアレンジされた独自ルートを使い、長野市から松本市のライドを楽しんだ。絶好のサイクリング日和となった10月のとある1日をレポート。

11/15/2024

快晴に恵まれた10月のある日、朝9時半。集合場所である長野駅前に、輪行袋を下げたサイクリストが続々と集まってきた。輪行袋から次々と現れるのは、色も仕様もそれぞれ異なる愛車のBrompton。今日は長野駅を出発し、一部区間で電車を使いながら長野市、千曲市、松本市を十数名でライドする。だれでも、どんな自転車でも参加できるオープンイベントだが、奇しくもBromptonオーナーばかりが集まった。各自、取り出した自転車をさっとひらき、ヘルメットを被ったらあっという間に準備完了。



門前町を走り、お目当てのカフェでブランチ


スタートして初めに向かうのは善光寺。車の往来の少ない裏道を通り、“長野のえびすさん”こと西宮神社を経て善光寺の参道へ。表参道は車両が進入できないので、1本東側の道から善光寺に至る。朝10時というのに重要文化財の山門には、拝観可能な上層部に上がろうという参拝者による長蛇の列ができていた。

参拝客で賑わう善光寺。ガイドの解説を聞きながらお参り

善光寺は644年(つまり飛鳥時代!)創建の古刹で、宗派を問わずあらゆる人を救済するという教えにより広く信仰を集めた。みどころは1707年建立の、国宝指定の本堂だろう。本堂最奥に位置する真っ暗闇の通路を通り、「極楽の錠前」を触ってご本尊との縁を繋ぐという「お戒壇めぐり」も有名だ。今日はライドがメインなので、残念ながら「お戒壇めぐり」はスキップ。そのかわり、イベントに帯同するガイドが語ってくれる善光寺の謂れや歴史に耳を傾ける。

「NorthSouthEastWest」で、小島剛さんが淹れてくれたコーヒーと名物のマフィンでコーヒーブレイク
色とりどりのBromptonが勢揃い

善光寺を後にして、次の目的地、「NorthSouthEastWest」へ向かう。【Brompton × PAPERSKY】 Local&CAFE RIDE長野編のナビゲーターを務めてくれた小島圭さん・剛さん夫妻が営むカフェだ。長野市役所の芝生広場の真横という絶好のロケーションにあるこちらは、“街歩きのきっかけ”となるようなスポット。駅前と善光寺をつなぎ、さらにその外、街と自然をつなぐ遊びの拠点となっているようだ。ここで小一時間の休憩となり、焼き立てのマフィンと剛さんが淹れてくれたコーヒーでのんびりとブランチを楽しんだ。正午前に「NorthSouthEastWest」を出発して、千曲川サイクリングロードを目指す。ここから千曲市の姥捨エリアまで20km弱のライドだ。



フラットな舗装道がどこまでも続くサイクリングロードを走る

千曲川の堤防に設けられた千曲川サイクリングロード
千曲川沿いの果樹園ではリンゴが収穫期を迎えていた

「NorthSouthEastWest」から住宅街を抜け、川中島古戦場跡からサイクリングロードへ。千曲川の堤防を利用した、自転車と歩行者のための専用道路はフラットな舗装道がどこまでも続き、快適なライドを楽しめる。堤防からは、千曲川沿いに広がる果樹園や畑の風景を一望でき、吹き抜ける秋風も心地いい。「うわ、すごい!」「ここ、最高!」なんて、参加者から感嘆の声があがった。しばらくサイクリングロードを走っていると、はるか正面に「田毎の月」と謳われた姨捨の棚田が見えてきた。

稲刈りが終わりつつある姨捨の棚田。わら焼きの煙が上がっていた
棚田を横目に激坂を上る


Bromptonで激坂を上る


標高約460〜560mの斜面に2000枚あまりの階段状の水田が広がる「姨捨の棚田」は、平安時代から月の名所として知られる。大きさもサイズもまちまちの田んぼに水が張られると、小さな棚田それぞれに月が映り込み、それはそれは幻想的なのだとか。その様子は「田毎の月」と表現され、松尾芭蕉や小林一茶らがこれを題材に歌を詠んだ。5月、6月は「田毎の月」のチャンス!ということで、現代でもたくさんのツーリストや写真家がこの夜景を目当てに訪れる。

坂を上りきったら姨捨駅に到着

この棚田を一望できるということで人気があるのが、JR篠ノ井線の姨捨駅。駅ホームに設置されているベンチが線路とは反対側の棚田を向いていることからも、その眺望の良さがわかろうというもの。とはいえ、ここからの眺めを楽しむためには、棚田の間に設けられたまあまあの急坂を上りきらなくてはならない。松本駅までアクセスするために篠ノ井線に乗るのだが、坂を回避するなら一つ手前の稲荷山駅を利用するという手もある。多数決をとったところ、まさかの満場一致で姨捨駅まで上ることに。ある人は一気に駆け上がり、ある人はのんびり押し歩き…… 。標高差200mあまりの上り坂をそれぞれのペースで進んだ。

標高551mの山の中腹に位置する姨捨駅。ホームから長野盆地と棚田を見渡す
輪行袋にBromptonを収めて篠ノ井線に乗り、松本駅へ


松本では城下町の風情とカフェ巡りを楽しむ


Bromptonを輪行袋に納め、篠ノ井線に揺られること、およそ1時間。松本駅では、人混みを避けてアルプス口へ降りる。ここでもまた、車の往来の少ない裏道を使い松本城に向かう。「やっぱり松本城は絵になるねえ」なんて言いながら、内堀通りを散策。松本城公園ではちょうど「信州・松本そば祭り」が開催されていたこともあり、城内は観光客でごった返している。早々に城を後にし、なまこ壁の土蔵が連なる中町の「amijok」に向かった。

松本城の周囲を散策
「amijok」で午後のコーヒーブレイク

「NorthSouthEastWest」と同じく、記事のナビゲーターを務めた小島さん夫妻が営む「amijok」は、2011年のオープン以来、松本のカフェシーンを牽引してきたスポット。毎朝焼き上げるマフィンをお目当てに、地元の人から観光客までがひっきりなしに訪れる。参加者たちを出迎えてくれた圭さんとのおしゃべりを楽しんだのち、本日最後の目的地、「山山食堂」へ。北アルプスの山小屋で働いていた高橋英紀さんが営むこちらは、まるで山小屋のような佇まいの小さな食堂。ライド参加者のために、湧水で炊いた白飯と手作りのお惣菜、とろとろの角煮のお弁当を用意してくれた。

「山山食堂」で早めのディナー。特製のお弁当に舌鼓

店内で早めのディナーを取りながら、今日のライドを振り返る。「いちばん印象的だったのは、やっぱり姨捨。あの坂があったから、棚田の風景がごほうびになった」「フラットなサイクリングロードが最高!」「淹れたてのコーヒーと焼き立てマフィンのコンビネーションが忘れられない」。それぞれの思い出を胸に、【Brompton × PAPERSKY】 Local&CAFE RIDE長野編ライドは無事、終了。さて、次はどこを旅しようか。

日本のローカルを巡るPAPERSKYとBromptonの旅は、まだまだ続く。

Cycling Route Map

Brompton
1975年、イギリス・ロンドンの街中にあるアパートメントの一室で生まれたBrompton。20秒以内に折りたためる、軽量・コンパクトな自転車は、創業者のアンドリュー・リッチーがロンドンの街中を快適に移動できる足を求めて開発したものだ。
https://jp.brompton.com

text | Ryoko Kuraishi photography | Hao Moda