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WORKING FISHERMAN vol.8 大原漁業協同組合 柴倉孝之さん

ノルウェー発祥のアウトドアブランド、ヘリーハンセンは、1877年、商船隊の隊長だったヘリー・J・ハンセンが、極寒の海で働く漁師のために、激しい雨や雪、寒さなどから身体を保護する防水ウェアをつくったのがはじまりだった。「H […]

05/07/2018

ノルウェー発祥のアウトドアブランド、ヘリーハンセンは、1877年、商船隊の隊長だったヘリー・J・ハンセンが、極寒の海で働く漁師のために、激しい雨や雪、寒さなどから身体を保護する防水ウェアをつくったのがはじまりだった。「HELLY HANSEN × PAPERSKY WORKING FISHERMAN」は、各地で活躍する若い世代の漁師を訪ね、漁師という職業の魅力や仕事にかける想いを通して、創業時より変わらないヘリーハンセンの精神を再確認していくシリーズ企画。第8回目は、広島県江田島市の大原湾へ。
広島市からフェリーで南へ約30分。広島湾に浮かぶ瀬戸内海で4番目の大きさを誇る島・江田島は、標高400mほどの小高い山々や穏やかな瀬戸内海に囲まれ、島を一周できる「かきしま海道」は人気のサイクリングコースとして注目されている。また、明治期に東京・築地より海軍兵学校が移転して以来、旧海軍の歴史と深い関係のある島として知られる。柴倉孝之さんは、2015年、結婚を機に江田島に移住し、電気工事の仕事から一転、漁師の道へ。1年間の研修後独立し、柴倉鮮魚を開業。2017年より獲れた魚の船上販売をはじめ、島での人気を集めている。
「10代後半のとき、音楽好きが高じてよくライブイベントを主催していて、そこで当時歌手だった妻と出会いました。その後、広島市内で、本業では電気工事の仕事をしつつ、彼女のレコーディングやライブツアーに同行するマネージャーとして活動を共にしていました。
10年ほど活動した後、結婚や彼女の妊娠を機に、長年の夢だった漁師に挑戦するなら今しかないと思い、漁師の道へ進むことにしました。それを決断した大きなきっかけは、東日本大震災でした。街での仕事や暮らしは楽しかった反面、窮屈さを感じていて、震災以降、街を離れて海の近くで暮らしたいという気持ちがますます強くなって。それで、豊かな自然があって、子育てにも適した環境がある江田島に移住することにしたんです。
新規漁業就業者支援事業の制度を使って、師匠の漁師に付いて研修をしました。この地域では、30時間連続で漁をするのが特徴で、昼に出航してから次の日の夕方に漁を終えて、市場で卸して港に帰ってくるというスタイル。一年後に独立しましたが、このやり方では思うように魚が獲れず、体力ばかりがなくなって。また、夏場になると水温が高くなるので、せっかく獲れた魚も大量に死んでしまうし、かといって氷締めした魚は市場でも値段が付かない。30時間も海に出ないといけないのに、お金にならない。子どももいるのに生活するためにどうしよう、という不安でパニックに陥ってしまって。やることすべてが思い通りにいかず、このままでは漁師は続かないと思っていました。
そんな中、少しの量でもお金にするための対策として始めたのが、週1回の船上での販売でした。獲れてから数時間しか経っていない新鮮な魚なら、氷で締まっていても、みんな喜んで買ってくれるだろうと思ったんです。船上販売のことが口コミでだんだんと広がって、お客さんも近所のおばあちゃんだけでなく、広島市内からも来てくれるようになって。販売しながら、お客さんとの交流や、美味しい魚の食べかたをアドバイスできるのもやりがいがあっておもしろい。販売ができれば、この島での生活はなんとか続けられるし、船上販売を始めたことで、現在は漁に出るのは週1回で最大でも12時間と、仕事のスタンスも変わりました。孤独や挫折を感じていた時期もあったけど、周りの人が助けてくれたおかげで、こうして生かされていると実感しています。
一人で漁に出ていると、危険な目に合うこともあるし、海に落ちてしまったら後はない。大切にしているのは、魚が獲れても獲れなくても、怪我せずに安全に帰ること。お守りは船内に貼っている家族写真です。漁を30時間ずっとやっていた頃は肉体的にも精神的にもかなり追い込まれた状態で、船上で寝てしまいそうになるたびに、その写真が何度も僕の目を覚ましてくれました。家族の存在が、僕が漁師をやっていける支えとなっています。
この先は、鮮魚を扱いながら、今まで誰もやらなかった新しいことにも挑戦したいと思っています。週末にも販売をしたり、イベントにも出店したり。受け入れてもらえるところがあれば、この船に乗っていろんな場所を訪ねて、店開きをしてみたい。不安は尽きないですが、冒険もしないといけない。島での暮らしをいかに豊かにできるかを目標にして、自分らしい漁師の生活を模索しているところです。」
 
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