高知の田舎寿司

高知の日曜市でもたくさん見かけるお寿司「田舎寿司」。パックのなかに黒、紅色、薄緑、黄色などの鮮やかな色の具がのっています。ぱっと見は魚かな? と思いますが、ネタはすべて野菜や玉子でつくられています。素材ごとにそれぞれ違う […]

12/23/2019

高知の日曜市でもたくさん見かけるお寿司「田舎寿司」。パックのなかに黒、紅色、薄緑、黄色などの鮮やかな色の具がのっています。ぱっと見は魚かな? と思いますが、ネタはすべて野菜や玉子でつくられています。素材ごとにそれぞれ違う味つけがしっかりとされていて、魚のネタよりも美しく、かなり手間暇がかけられているお寿司です。
高知へ越してしばらく経ったとき、地元のお母さんによる郷土料理教室で田舎寿司を教えてもらう機会がありました。ネタの種類は季節ごとに変化しますが、蒟蒻、椎茸、茗荷、大根、竹の子が主な代表。秋はリュウキュウという里芋の茎が美味しい。蒟蒻、竹の子、椎茸はカツオ出汁に醤油や味醂などで濃いめに味つけされた汁にひと晩浸しておく。大根は塩でしんなりさせてご飯を詰めやすい状態にしておく。茗荷は梅酢漬けにする、などなど、思った以上の手間の入れように驚きながら教わりました。ご飯を詰めるために蒟蒻や大根には包丁を入れて袋状にするのですが、破れないようにするには集中力が必要になります。市場のオバちゃんたちはそうやって毎日つくっていることを考えると…尊敬しかありません。
高知の田舎寿司のもうひとつの特徴は、寿司飯に米酢ではなく柚子酢が使われていること。米酢よりも柚子の果汁のほうが手に入りやすかっただろうし、何よりも野菜のネタとすごく合う! 面積の85%が森林の高知県。山間に暮らす人々も多く、新鮮な魚が手に入らなかった時代に、畑でとれる野菜や森の山菜で寿司ネタに見立ててでき上がったのが田舎寿司の始まりだとか。
写真の田舎寿司は数年前に東京で開催した料理教室でつくったもの。野菜のネタに寿司飯を詰める作業を生徒さんと実践しましたが、「すごく楽しい!」と大喜びしながらワイワイと詰めていた光景は今でも忘れられません。
彩り美しい田舎寿司をはじめ、宴会用に拵える皿鉢料理(さわちりょうり)など、高知にはたくさんの伝統郷土料理があります。この食文化が若い世代に受け継がれてほしいし、私自身も地元のお母さんから伝授してもらって、広げていかにゃあかん!ですね。