山と芸術の新しい地平|PAPERSKY mountain club

数年前に友人からもらった本をときどき眺めている。 『DRAWN THE ART OF ASCENT』 JEREMY COLLINS JEREMY COLLINSという名前は初めて知ったが、その絵がパタゴニア社のフライヤー […]

08/21/2017

数年前に友人からもらった本をときどき眺めている。
『DRAWN THE ART OF ASCENT』 JEREMY COLLINS
JEREMY COLLINSという名前は初めて知ったが、その絵がパタゴニア社のフライヤーか何かに使われていた記憶があった。
ページをめくると、独創的な線画が目に飛び込んでくる。翼を羽ばたかせた鳥のように、自由に、のびのびと描かれた作品。ヨセミテ、中国、ベネズエラ、カナダ…モチーフは風景から動物、人物までさまざまで、写真を使ったコラージュも多い。なかでも目を引くのが、本の題名ともなっているクライミングの風景である。
著者のJEREMYはミズーリ州、カンザスシティで家族とともに暮らしている。彼の作品は、数多くのクライミングマガジンで紹介されており、『National Geographic』誌の表紙を飾ったこともある。また、米国内に300以上のクライミングルートをつくり、アルゼンチン、ベネズエラ、カナダ、中国で初登もしているクライマーである。
昔から登山と芸術は近しい関係にあった。山での経験はそれだけで芸術に昇華するに値する。しかしその多くは主軸が登山か芸術かのどちらかに置かれている場合が多いし、本格的なクライミングにまでモチーフの幅を広げてきた人間は少ない。
JEREMYの作品を見ていて思うのは、双方がお互いに溶け合い、不可分な関係にあるということ。そしてどちらも非常に高い次元で表現されているということである。描かれたカミングディバイスは、彼にとって絵筆と同じくらい必要な道具なのである。
以前、米国のクライミング誌のウェブサイトに「8 Climbing Artists You Should Know」という記事があった。このような捉え方をする思想が新しい文化を生み育てるのだろうと思った。ちなみに、僕が好きなもうひとりの人物、Renan Ozturkもまたこの世界の最先端を行くクライマーでありアーティストである。
先日、絵柄が気に入ってTシャツを買った。図らずもそれがJEREMYの絵だったことは、この記事を書く直前に知ったのだが、これも何かの導きなのだろうか。彼の本を眺めていると、クライミングと芸術の新しい地平が見えてくる。