古代の王様が愛した、メキシコ流サウナの効能

世界中にその土地に合ったサウナがあるものだが、メキシコのテマスカルはとても特殊なものではないだろうか。4,000年前には原型が見られたという王族の嗜みは、かつては神とつながるための儀式と考えられていた。子宮を模したテマス […]

09/26/2018

世界中にその土地に合ったサウナがあるものだが、メキシコのテマスカルはとても特殊なものではないだろうか。4,000年前には原型が見られたという王族の嗜みは、かつては神とつながるための儀式と考えられていた。子宮を模したテマスカルは狭い入口をくぐると「胎内」のようにドーム型になっている。現在ではエステのような存在として認知されているが、それでも神秘的なムード漂うスタイルも残されている。今回訪れた「Ceviarem Temazcal Oaxaca」は、正統性を引き継ぎつつ、宗教的要素を排除したもの。シャーマン役のホシェヴェさんが、太鼓を叩いて参加者の意識を集中させていく。最初に体に塗るのは、果物のオレンジだ。このテマスカルでは、さらにメスカルで消毒をし、キュウリとアロエを搾ったもので潤いを与え、終盤にはチョコラテまで体にかけてしまう。まるで『注文の多い料理店』のように体に何かを塗った後、蒸気を発生させるという一連の流れを何度か繰り返す。合間にはホシェヴェさんの歌声が響き、高揚感が煽られていく。スペアミントやオレガノなどのハーブもふんだんに焚かれて、「胎内」は少し息苦しく感じられる。上部にあった穴を開けると風の流れが生まれ、煙が排出され、さらに天から光が差してくる。テマスカルは、大地と水と火、さらに風と光を感じるための儀式なのだ。1時間ほどのセッションを終えて外に出ると、自分の肌が驚くほど風を感じているのがわかる。ホシェヴェさんが「人間は本来、雨も風も受けて生きているのに、そこから逃げているから感覚が鈍くなってしまう。その感覚を取り戻すためにテマスカルに入るんだよ」と語った。テマスカルは生まれ変わりの儀式とも考えられている。
>> PAPERSKY #57 MEXICO, OAXACA|Food & Craft Issue