SUE KWON|NYの写真家たち(5)

10代にパリで見たセバスチャン・サルガドの個展が、写真をはじめるきっかけに。「サハラ砂漠の飢饉の被害者の写真に感動しながら、生まれ変わったような気分になった。人の心を動かせるメディアだと思ったの」 大学で写真を勉強し、卒 […]

03/14/2017

10代にパリで見たセバスチャン・サルガドの個展が、写真をはじめるきっかけに。「サハラ砂漠の飢饉の被害者の写真に感動しながら、生まれ変わったような気分になった。人の心を動かせるメディアだと思ったの」
大学で写真を勉強し、卒業後ファッション・フォトグラファーの助手に就いたが、自分が思い描いた写真の世界と現実のギャップに絶望して、一度は写真を撮らなくなった。「当時暮らしていたリトル・イタリーで、ストリートやソーシャルクラブの人々の姿を目にするうちに、また自然にカメラを手にし、目的なくシャッターを切れるようになった」
シェリル・ダンと並び、女性ストリート・フォトグラファーの先駆けでもある。技工に頼らない、古典的な撮りかたで勝負してきたが、そのスタイルで生計を立てるのはけっして簡単ではなかったと振りかえる。ポートフォリオを持って営業に行った先で、「あなたの写真はエスニックすぎる」と言われたことも。「自分の正気を保つために、雇われ仕事の外で写真を撮る作業が必要だったのだと思う」
サルガドの写真を見た日から、モノクロにこだわり続けてきた。カラー写真を受け入れられるようになるのに10年かかったと笑う。「モノクロの世界では、カラーの裏に隠れがちなまっさらな真実が映ると思う」
昨年、約20年かけて撮りためた写真をまとめた写真集『Street level』を発表した。「この街の風景に刺激されてシャッターを切ることは減ってきたけれど、人々から受けるインスピレーションは変わらない。少年がしている眼帯とか、誰かのカールヘアとか、日常に生きる人々のリアルな美しさを探してる」

Stanford Journalists on Journalism: Sue Kwon of CBS from E. Drake Martinet on Vimeo.

 
◆ Sue Kwon スー・クォン
「他の場所に暮らすことは考えたことがない」という生粋のニューヨーカー。NY大学でフランス文学と写真を専攻した。写真家としては『Villedge Voice』誌でキャリアをスタートし、90年代には数多くのヒップ・ホップ・アーティストのポートレートを撮りおろした。
www.suekwon.com
This story originally appeared in Papersky No. 34.