キャッツキルはかつて農業で栄えたエリア。高齢化などにより一度は廃れた農業を近年、若い農家たちが復活させようと奮闘している。「Star Route Farm」は、キャッツキルの若手農家を束ねる中心的存在。オーナーのティアナ・ケネディさんは、マンハッタンで8年ほどアート関係の仕事に従事した後、移住。有機野菜農家を始めた。
「街も好きだったけど、生活の質は今のほうがずっといい。暑い日は農場の池で泳げるし、おいしい食事ができるし。たとえ少々貧しくても心は貧しくならないから(笑)」
それにね、と共同経営者のウォルター・ライゼンさんが続ける。「野菜を収穫していると、どんなアート作品より美しいと思うんだ。この赤キャベツなんてまさにそう。マンハッタンのギャラリーに置いたら、高値で売れそうだよ(笑)」。
ふたりはかつて馬牧場だった土地の土壌を徐々に改良し、野菜に適した農園へと変えてきた。はじめは数種類の野菜しかつくれなかったが、7年目を迎える今では、各種ハーブや外来種の野菜を育てられるまでになった。
「今の目標は、キャッツキルの若手農家たちのコミュニティを豊かにすること」とティアナさん。野菜だけでなく、卵や乳製品、精肉など、周辺農家の作物を集め、マンハッタンなどのマーケットで代理販売する活動をしている。
「私は街で仕事をしていたからコネクションがあるの。それを活かして、地元のみんなの作物のよさをマンハッタンでも広めていきたいと思って。コミュニティ全体が盛り上がれば、それぞれの農家にとって必ず利益になるから」
かつては農家同士が助け合って農業を行っていたキャッツキル。その伝統を小さなファームが復活させる日は近い。
» PAPERSKY #51 Upstate New York | Farm & Table Issue
Star Route Farm
www.starroutefarmny.com
アートからファームへ。華麗なる転身|Star Route Farm
キャッツキルはかつて農業で栄えたエリア。高齢化などにより一度は廃れた農業を近年、若い農家たちが復活させようと奮闘している。「Star Route Farm」は、キャッツキルの若手農家を束ねる中心的存在。オーナーのティアナ […]
04/15/2020